「ミッドサマー」美しく眩しい風景が恐怖を増幅させるホラー

最近偶然ながらフローレンス・ピューが出演する作品を立て続けに鑑賞。少しぽっちゃり気味で庶民的な顔立ちながら、どの作品でも大きな存在感を見せているように思われます。彼女を初めて観た映画を思い出して。アマプラで。

「ミッドサマー」

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精神疾患を患う妹が引き起こした無理心中により、両親と妹を一度に亡くしてしまう大学生のダニー(フローレンス・ピュー)。恋人クリスチャンたちが元々男同士で行く予定だったスウェーデンへの旅行に同行、森の奥地で開かれる「90年に一度の祝祭」に参加するが、太陽が沈まず花が咲き誇る村で行われるセレモニーが進む中、やがて不穏な儀式を目にすることになる。

予告編などから、花々と太陽が眩しい北欧が舞台の「カルト宗教によるホラー映画」のように思われますが、実際に主人公たちが北欧に出かけるまでが結構長いです。

主人公ダニーは元々情緒不安定。常に恋人に依存しており、彼氏の方ではかなり持て余し気味で、友人達からは「早く別れろ」と言われるほど。しかし不慮の事故で家族を失った彼女に別れを切り出せず、結局誘う気の無かった旅行に彼女を連れて行くハメに。そんな恋人同士と周囲の関係性、特にダニーの「何かに頼らずにはいられない精神の脆さ」が、割に時間をかけて描かれていたようです。

結果的にそういう「不安定さ」の内在故に、最終的に彼女が祝祭のキーパーソンとしてターゲットとなり得たのでしょう。旅立つ前から伏線が貼られていたのがわかります。

グロテスクな儀式に不気味な空気。当初は反発し脱出も考えていた彼女が、最後には村人と同化していくんですね。

それは、愛していた家族を失い恋人にも距離を置かれつつある彼女が、唯一「共感」してもらえるところだったからなのでは。

この「共感」を表すように、怒りや喜びなど感情から発する叫びを村の住民と共有する場面が何度も出てきます。

美しい風景や民族衣装と対比するような残虐さが際立つ本作ですが、人の持つ弱さが狂気に絡みとられる様が、更にゾッとするようでした。

本作では恐怖と狂気にさらされる役だったフローレンス・ピュー。泣き叫ぶシーンは2時間もかかったらしい。まさに熱演ですね。今度はマーベルの「ブラック・ウィドー」に出演したとか。パワフルなアクションも余裕でこなしそうな逞しさを感じます。

ハスキーボイスで年齢よりも大人びて見えるけれど、素顔は鼻ピアスで「イマドキ」の女の子らしくお茶目な様子もうかがえて更に親近感が増す存在です。

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