「エルヴィス」伝説のスターの短すぎる生涯を見事なステージシーンで

デューン2」でサイコパスな悪役がハマっていたオースティン・バトラー。別の映画を観てみたくて。アマプラで。

「エルヴィス」

https://eiga.k-img.com/images/movie/92526/photo/5c43be80d94099ba/640.jpg?1654569672

映画.com

1935年ミシシッピーで生まれたエルヴィス(オースティン・バトラー)は、貧しさ故に、貧困層の黒人が多いテネシー州メンフィスに転居。そこでゴスペルやブルースなどの黒人音楽に大きく影響された彼のパフォーマンスは、後のマネジャーになる大佐(トム・ハンクス)の目にとまり、やがてその圧倒的な歌唱力とセクシーな動きで世界中にファンを持つスーパースターとなるが…

「世界で最も売れたソロ・アーティスト」としてギネス認定されているプレスリー。そんな彼がスーパースターに登り詰め死に至るまでの短い生涯を描いた作品。

彼の死因については謎とされており多くの説があるようで、その一つが強欲マネジャーによる搾取と過密なスケジューリングでの過労を引き金とするものですが、そのマネジャーが映画のストーリーテラーとなっているのが面白いところ。

確かに金儲けの為金の成る木であるエルヴィスを酷使する非道な男ではありますが、その彼の目から見ればエルヴィスは経済的に自立できず精神的に弱い青年であり、要するに一種の「共依存」のような関係であったことを思わせます。

そのマネジャーを演じたトム・ハンクス。見慣れない「悪役」のせいか或いはわざと高音でがなりたてる喋り方のせいか、最後までどことなく違和感が残ったまま。

主演のオースティン・バトラーは、歌唱も含めライブパフォーマンスは凄く迫力あり、残念ながらプレスリー世代ではない私が言うのもおかしいですが、かなり本物に肉迫していたのではないでしょうか。晩年あたりのシーンでは顔が結構ふっくらしていて体重管理も大変だったようで、ハーゲンダッツをチンして「飲んでいた」と言うのは有名な話(結局は体型調整するスーツを着込んだそうですが)。

人種差別が色濃かった時代に黒人音楽を積極的に取り入れた彼の功績はわかるものの、様々なプレッシャーやストレスなどから薬物に頼らざるを得なくなる内面には思ったほど触れられておらず、恐らくそれは悪徳マネジャーが狂言回しになっているせいかな、とも思われます。

何れにしても本物の映像も差し込まれていて、プレスリーファンなら嬉しいシーンでは。

今回本作を見たのはオースティン・バトラーの芸達者ぶりを見たかったのもありますが、プレスリーの妻を主人公とした「プリシラ」が近々公開される為。夫婦の視点が変われば見比べてみるのも面白いかな、と思うので楽しみです。