「口福のレシピ」一皿の料理が繋げる昭和と現代の女性たちの物語

原田ひ香+料理で読みやすそうな一冊を。Audibleで。 「口福のレシピ」 原田ひ香 著 Amazon.co.jp 江戸時代から続く伝統ある料理学校「品川料理学園」の一人娘留季子。後継者とされるプレッシャーに耐えきれず、卒業後は家を出てSEとなるが、本来食べること…

「成瀬は天下を取りにいく」ローカル愛豊かな青春物語

本屋大賞受賞作。配信を待っていました。Audibleで。 「成瀬は天下を取りにいく」 宮島未奈 著 Amazon.co.jp 滋賀県大津市に住む中学2年の成瀬あかりは子供の頃から「変わり者」。クラスでも浮いた存在で幼馴染の島崎みゆきだけがいろいろと付き合う羽目に…

「声に出してよむ漢詩の名作50」音読で知る漢詩の楽しさ

中国語をポツリポツリとかじっています(しかもDuolingoベース)。遅々として進まないながらも今まで3度はギブアップしたことを考えれば、細々とは言え我ながら続いている方だと思います(ありがとう、Duolingo)。 何かもっと中国語と親しくなれる方法はな…

「紫式部と藤原道長」大河ドラマを思い浮かべつつ史実に忠実な解説を楽しむ

毎年大河ドラマを見ています。今回は平安時代、特に紫式部をモデルとしているとの事で、昨年あたりから関連の本やイベントが多くなったような。個人的にここらあたりは非常に知識が乏しいので少しでも参考になるといいかな、と。Audibleで。 「紫式部と藤原…

「リカバリー・カバヒコ」優しさ溢れる作者独自の世界に癒される

本屋大賞では常連の作者。安定の「青山美智子ワールド」でした。Audibleで。 「リカバリー・カバヒコ」 青山美智子 著 Amazon.co.jp 街の小さな公園にあるカバの形をしたアニマルライド。「カバヒコ」という名のその遊具は、自分が治したい部分と同じところ…

「穴あきエフの初恋祭り」言葉遊びの向こう側を覗き見る読書の楽しさ

前回「エッセイ風小説」を読破(?)できたので調子に乗ってもう一冊読んでみました。短編集なので読みやすいかな、と思いきややはり手強かったな。文庫本で。 「穴あきエフの初恋祭り」 多和田葉子 著 Amazon.co.jp 留学先のアメリカから就職面接の為に10…

「レディ・マクベス」

引き続きフローレンス・ピューの出演作を。初主演映画です。アマプラで。 「レディ・マクベス」 映画.com 19世紀後半イギリス。17歳のキャサリン(フローレンス・ピュー)は裕福な商家に嫁ぐが、年の離れた夫は彼女に関心を示さず肉体関係を持たない。意…

「ミッドサマー」美しく眩しい風景が恐怖を増幅させるホラー

最近偶然ながらフローレンス・ピューが出演する作品を立て続けに鑑賞。少しぽっちゃり気味で庶民的な顔立ちながら、どの作品でも大きな存在感を見せているように思われます。彼女を初めて観た映画を思い出して。アマプラで。 「ミッドサマー」 映画.com 精神…

「君たちはどう生きるか」久しぶりの宮崎駿ワールド

アカデミー賞効果なのかロングラン上映。そういえば前作「風立ちぬ」も劇場にジブリ好きの娘と劇場に観に行ったっけ。今回は一人で鑑賞。 「君たちはどう生きるか」 映画.com 太平洋戦争、空襲で母親を亡くした眞人(まひと)は、軍需工場経営者の父親ととも…

「オッペンハイマー 」原爆の父と呼ばれた物理学者の栄光と挫折

3時間にも及ぶ超大作。寝るかな、と思ったけれど最後まで飽きる事なく観ました。 「オッペンハイマー 」 映画.com 第二次世界大戦中、優秀な物理学者のロバート・オッペンハイマー は、米政府が主導するマンハッタン計画で、原爆開発のプロジェクトのリーダ…

「無限大ガール」まるで漫画なスーパー高校生の活躍がひたすら楽しい

カバーのイラストに惹かれて。内容も同じくらいに可愛らしさ満載でした。Audibleで。 「無限大ガール」 森 絵都 著 Amazon.co.jp 高校二年生の相川早奈は、両親から「長身」と「器用さ」を受け継ぎながらどこの部活にも所属していないものの、頼まれれば今日…

「プラナリア」様々な無職の人たちが登場する短編集

以前Audibleで聞いた「百年の子」を朗読された石田ひかりさんがファンと言うのを聞いて読んでみたくなった作家。直木賞受賞作を文庫本で。 「プラナリア」 山本文緒 著 Amazon.co.jp 乳がんの手術以来、体調不良のせいもあって何事にも前向きに取り組めない…

「月の満ち欠け」生まれ変わりを繰り返す女性とそこに関わる男たち

映画化もされた作品。Audibleで。 「月の満ち欠け」 佐藤正午 著 Amazon.co.jp 小山内賢は妻の梢と娘の瑠璃を突然事故で亡くしてしまう。失意の小山内の前に三角という男が現れ、実は瑠璃は三角に会いに行く途中に事故にあったのだと語る。何の面識も無い男…

「いつかたこぶねになる日」漢詩の豊かさ教えてくれるエッセイ

いつかこの人の本を読みたいと思い、「後で買う」に入れっぱなしだったのが、本屋で文庫本を発見!あぁ文庫になってくれてありがとう。迷わず買いました。 「いつかたこぶねになる日」 小津夜景 Amazon.co.jp フランス在住の俳人である著者。しかし本作は句…

「百年の散歩」エッセイのような小説で時空を超えた散歩を楽しむ

前回はAudibleで読んだ多和田葉子。今回は書籍で。 「百年の散歩」 多和田葉子 著 Amazon.co.jp ドイツ・ベルリンに居住する「わたし」。ベルリンに実在する通りを一つ一つ訪ね気楽に散歩しながら、来ない「あの人」との頼りない待ち合わせの約束を思いつつ…

「コントラクト・キラー」サスペンスというよりもいつも通りのシュールなコメディ

アキ・カウリスマキ監督作品。いつも通りすっとぼけて入るものの、今回はサスペンス要素が。でもあんまりハラハラしなかったけれど。アマプラで。 「コントラクトキラー」 映画.com ロンドンで働くフランス人のレオ。周囲とはそれほど溶け込んでは以内が真面…

「星の子」信仰に取り込まれる両親を持つ子供の目線

今村夏子作品。今回はAudibleで。 「星の子」 今村夏子 著 Amazon.co.jp 「わたし」は中学3年生の林ちひろ。未熟児で生まれ生後間もなく原因不明の湿疹にかかり、あらゆる手を尽くしたが全く効果を得られず困り果てた父親は、同僚のくれた「特別な水」を使…

「下流の宴」で中流家庭に起こる騒動をシニカルに

エッセイも含めて何冊か読んでいる著者の、初めて面白かったぁと思えた作品。Audibleで。 「下流の宴」 林真理子 著 Amazon.co.jp 東京のごく一般的な家庭、いわゆる「中流」の家の主婦である由美子。これまた一般的なサラリーマンである夫との四人家族で申…

「デューン砂の惑星Part2」遥か未来の惑星を舞台に古代戦士のような戦い

スターウォーズ含めSF的なものはあまり積極的には観ないんですが、何せティモシー・シャラメ主演ですから。復習・予習を兼ねてシリーズ前作を急ぎアマプラで観た後に劇場へ。 「デューン砂の惑星Part2」 映画.com 宇宙皇帝とハルコンネン 家の陰謀により、…

「落下の解剖学」法廷劇から見る人間ドラマ

久しぶりに誰もいない週末という事で思い立って映画館へ。先ずは昨年のカンヌでの受賞作。 「落下の解剖学」 映画.com 人里から離れた雪山にある山荘。小説家であるサンドラはインタビューに来た学生に対応するも別室から聞こえる夫が流す大音量の音楽の為中…

一年ぶりにディズニーへ行ってきました

昨日良いお天気の日曜日、40周年で賑わうTDR(シーの方です)に行ってきました。 天気の良さが全くわからない写真ですが絵に描いたような青い空でした。 特にディズニーオタクではないものの、市内の住人であることから何だかんだで年に1回くらいは家族で…

「アーセナルにおいでよ」起業する若者の爽やかな頑張り

Audible先行配信「オーディオファースト」の一つ。勿論Audibleで。 「アーセナルにおいでよ」 あさのあつこ 著 Amazon.co.jp 小さい頃から飛び抜けて大柄である事と人とのコミュニケーションが不得手である事がコンプレックスの千香。ある日長年音信不通の幼…

「夏物語」で「乳と卵」再びとその後を

あまり得意な作家じゃない、と思っていたのに気が付いたらまた選んでいました。Audibleの気軽さも手伝っているかな。 「夏物語」川上未映子 著 Amazon.co.jp 大阪の下町の貧しい環境で育ちやがて小説家を目指し上京した夏子は、一冊の小説を出したきりで生活…

「青い壺」奇跡の復刊からベストセラーになった幻の名作

とても久しぶりの有吉佐和子。昔の作品ながら昨年末頃からベストセラーになっていますね。原田ひ香の帯と共に平積みになっていた文庫本で。 「青い壺」 有吉佐和子 著 Amazon.co.jp 青磁を制作する陶芸家の省造は、ある日会心の出来の美しい色合いの壺を焼き…

「天国と地獄」で再び黒澤+ミフネ作品を観る

黒澤監督+三船敏郎を再び。タイトルは知っていたけれどきちんと観たことがなかったので。アマプラで鑑賞しました。 「天国と地獄」 Amazon.co.jp 製靴会社の役員権藤(三船敏郎)は、自分の息子と間違えられて運転手の息子が誘拐された事を知る。身代金は3…

「暗殺の森」で評価の高い映像美に触れてみる

「好きな映画ベストXX」で見るとほぼ高い確率でヒットされる有名な作品。今更ですがアマプラで。 「暗殺の森」 映画.com 第二次世界大戦前夜のイタリア。幼い頃自分を犯そうとした運転手リーノを射殺してしまった記憶に未だ囚われるマルチェロ。精神病院に長…

「薬指の標本」期待していた小川ワールドに踏み入れた感じです

あぁ「小川洋子ワールド」という感じでした。文庫本で。 「薬指の標本」 小川洋子 著 Amazon.co.jp 清涼飲料水工場で働いていた「わたし」はサイダー製造の作業中謝って薬指の先端を切断し失ってしまう。工場を辞めたわたしは偶然見かけた求人の張り紙を見つ…

中尊寺金色堂と本阿弥光悦の特別展に行ってきました

先月今年初の東京国立博物館、行ってきました。去年から楽しみにしていた中尊寺金色堂の特別展です。 「建立900年 特別展「中尊寺金色堂」 東京国立博物館 建立900年を記念しての特別展示。国宝仏像11体が揃って寺外で公開されるのは初めてだとか。…

「リボルバー」アートミステリー小説でゴッホやゴーギャンを知る

久しぶりにずっしり重たい新書版。夫の積ん読棚から拝借して。 「リボルバー」 原田マハ 著 Amazon.co.jp 幼い頃からゴッホやゴーギャンに魅せられていた高遠冴は、パリで美術史の博士号を取得した後、現地の小さなオークション会社CDCに勤務し、将来的には…

「地球にちりばめられて」言葉や国境を越えて問うアイデンティティ

物凄く久しぶりの多和田葉子。Audibleで。 「地球にちりばめられて」 多和田葉子 著 Amazon.co.jp 留学中に故郷の国が「消滅」してしまったHirukoは、ヨーロッパ大陸で生きて行く為「パンスカ」という独自の言語を作ってコミュニケーションを図っている。テ…