「アイム・スティル・ヒア」平穏な家族の日常を奪う権力の怖さ

実話に基づいた映画。独裁政権での強硬な拷問の犠牲となった元議員とその家族を描いた政治ドラマ。劇場で鑑賞しました。 「アイム・スティル・ヒア」(2025年) 映画.com 1970年代のブラジル、リオデジャネイロ。軍事独裁政権を批判していた過去を持…

年に一度の国分寺御開帳へ

夏の間あまりの暑さにお休みしていたご開帳巡りを再び始めています。秋になるといろいろイベントが増えて時間的にも金銭的にもキツくなる為、涙をのんで取捨選択しながらになるという事で先ずは関東近郊から。過日は毎年10月10日に薬師堂御開帳されてい…

「ミスター・グットバーを探して」素敵だったダイアン・キートンを偲んで

あぁ又大好きな俳優さんが逝ってしまった… ダイアン・キートンと言えば有名な出演作がありすぎて「これ」と一つ選ぶのが難しいくらい。個人的に好きすぎて何回観たかわからない「ゴットファーザー」シリーズも捨てがたいし、これまたクセの強さが特徴だった…

映画祭が始まります!

映画のお祭りがまた今年も始まりますね。 楽しみにしていた「東京国際映画祭」。去年は「十一人の賊軍」や「敵」などの日本映画に加え、久々の香港映画の参加など事前情報もあって期待していた作品があれこれあって選ぶのが難しかった記憶が。それに比べると…

「ゲーテはすべてを言った」名言探しの長い旅の行きつく先

ドイツ文学を専攻していたにもかかわらず一冊もゲーテを読破したことが無い事を恥じて…という訳ではないのですが、学生時代なら手に取らなかったであろうタイトルを「敢えて」チョイスしてみました。芥川賞受賞作をAudibleで。 「ゲーテはすべてを言った」 …

「スタントマン 武替道」香港アクションへのオマージュとリスペクト

テレンス・ラウとフィリップ・ンの共演。公開を待っていてやっと観ることができました。 「スタントマン 武替道」(2025年) 映画.com 1980年代売れっ子のアクション監督だったサム(トン・ワイ)は危険なアクションシーンを強行した為スタントマン…

「ファンファーレ!ふたつの音」厳しい現実に翻弄されながらも音楽をひたすら愛する人たち

「音楽系」で何となく元気を貰えそうな気がして。 「ファンファーレ!ふたつの音」(2024年) 映画.com 世界を舞台に活躍する指揮者ティボ(バンジャマン・ラべルネ)は練習中倒れてしまい白血病と診断を受けるが、骨髄ドナーを探す中で自身が養子である…

「遠い山なみの光」映像化での解釈を想像しながら原作を読んでみる

映画の予告編を見て興味を持ってとりいそぎ原作をAudibleで。 「遠い山なみの光」 カズオ・イシグロ 著 Amazon.co.jp イギリス郊外で独り暮らしをする悦子を次女のニキが訪れる。悦子は長女恵子を自殺で亡くしたばかり。滞在中ニキに悦子は自分が見た夢の話…

「追憶」あまりにも有名なテーマソングと主役二人の圧倒的存在感で魅せられる

本当にカッコよかった、レッドフォード。「明日に向かって撃て!」も「スティング」も良かったし、「華麗なるギャッツビー」も。ずっと後のダンディーになってからの作品もいいけれど、やっぱり70年代くらいの頃が一番輝いていた気が。という事でその中の…

「いつか死ぬ、それまで生きるわたしのお経」生きること死ぬことへの向き合い方のヒントになるか

詩人、伊藤比呂美が仏教思想について綴ったエッセイ。著者によるお経の現代語訳も付いて。 「いつか死ぬ、それまで生きるわたしのお経」 伊藤比呂美 著 Amazon.co.jp 寝たきりの母、独居する父、そしてカリフォルニアで長年連れ添った夫を順番に見送った著者…

永遠の「土方歳三」です…

栗塚旭さん、亡くなられましたね… 今年になって何故だか無性に「栗塚旭の土方歳三」が懐かしくなってアマプラで観たばかり。あぁさみしいです… 私にとっては土方歳三と言えば栗塚旭一択!当時まだ元気だった祖父がチャンネル権を持っていたのでw当然TVは…

「川のほとりに立つ者は」様々ないきづらさを抱える者同士は理解しあえるのか

根強く人気ある作家さんですね。こちらも本屋大賞ノミネート作品でした。Audibleで。 「川のほとりに立つものは」 寺地はるな 著 Amazon.co.jp 若くしてカフェの店長を務める原田清瀬は、ある日恋人でしばらく連絡を絶っていた松木圭太が怪我で意識不明の重…

「流星」冴えない風貌で子育てに奮闘するレスリー・チャンがいとおしい

昨年だったか、レスリー・チャン出演作でまだ未視聴作品をオンデマンドで見つけて。アマプラでも観られますね。 「流星」(1999年) 映画.com 香港の敏腕証券アナリストのウェイ(レスリー・チャン)は、株価の大暴落の影響で失脚、恋人も失い、失意のさ…

「動物界」SFホラーというにはあまりに繊細なフランス映画

フランスのSF映画?殆ど予備知識なく観てみたらいろいろと新鮮でした。劇場で。 「動物界」(2024年) 映画.com 近未来のフランス。原因不明の突然変異で身体が徐々に動物になるという病気が蔓延。様々な形の新生物と化した彼らはその凶暴性の為特別施設…

「8番出口」世界的にヒットしたゲームを映画ではなく小説で

世界的に広まったゲームの実写化が公開されましたね。「絶賛上映中」だとか。こちらは公開前に監督自らが書き下ろした小説版をAudibleで。短いのでサクッと読了できました。 「8番出口」 川村元気 著 Amazon.co.jp 地下鉄に乗っていた主人公は、車中で泣きぐ…

「ツミデミック」パンデミックと犯罪が絡んだ世界をオムニバスで

コロナ禍の社会を舞台に起こる様々な事件。関わる人々の6つの物語。2024年直木賞受賞の短編小説集をAudibleで。 「ツミデミック」 一穂ミチ 著 Amazon.co,jp 大学を中退して客引きのバイトしながら生活する優斗は、ある日大阪弁の女性から話しかけられ…

「ラブ・イン・ザ・ビッグシティ」都会での息苦しさを跳ね返す自由で真っ直ぐな男女の友情

じめっと暑い初夏の頃に劇場で。キム・ゴウンちゃん、結構好きなので期待していたらそれ以上でした。 「ラブ・イン・ザ・ビッグシティ」 映画.com あまりにも自由奔放でエネルギッシュな為周囲から「浮いた」存在のジェヒ(キム・ゴウン)とゲイである事を隠…

「冬冬の夏休み」懐かしさいっぱいの映像に一瞬で子供時代に引き戻される

夏休み、終わっちゃいましたね。麦わら帽子、真っ黒に日焼けした顔、泥だらけの膝小僧…田舎に遊びに行った子供の頃を思い出しながら。 「冬冬の夏休み」(1984年) 映画.com 台北の小学校を卒業したトントンは、母親が病気で長期入院中の為、幼い妹のテ…

「バッドランズ」15歳の少女の目にうつる恋人と二人の逃避行

「地獄の黙示録」のマーティン・シーンと「キャリー」のシシー・スペイセクの共演。70年代の映画ですねぇ… テレンス・マリック監督。 「バッドランズ」(1973年) 映画.com 1959年サウスダコタ州。大人しく目立たない少女ホリー(シシー・スペイセ…

「サンダーボルト」シリアスでコミカルなイーストウッドのニューシネマ

1970年代のクリント・イーストウッド主演作品…というよりも「ディア・ハンター」「天国の門」のマイケル・チミノの初監督ということで観に行って来ました。 「サンダーボルト」(1974年) 映画.com 銀行強盗のサンダーボルト(クリント・イーストウ…

「カフネ」家事で心と生活を整えていく

今年の本屋大賞受賞作。しばらくお休みしていたAudibleで。 「カフネ」 阿部暁子 著 Amazon.co.jp 最愛の弟を亡くしたばかりの野宮薫子。生前遺言書を作成していた弟は元彼女である小野寺せつなを自分の残した預貯金の相続人にしていた事からせつなに出会い…

「プライベート・ライアン」壮絶な戦闘シーンは噂通りのリアルさでした

以前から観たかったスピルバーグ監督の戦争ドラマ。リアルな戦闘シーンとの評価に恐れをなして比較的精神状態のいい時を選んで鑑賞しました。アマプラにて。 「プライベート・ライアン」 映画.com 1944年。フランスノルマンディー上陸の激戦で成功をおさ…

「ジョニーは戦場へ行った」

今年は終戦80年にあたることもあり8月に入ると戦争映画や反戦ドラマの上映が例年にもまして多く見られるようです。「終戦80年企画」と称して4K版リバイバル公開作品を終戦記念日に。 「ジョニーは戦場へ行った」 映画.com 第一次世界大戦下、ヨーロッ…

俳句、ちょっと楽しいかも…

今年の春あたりから見よう見まねで句を詠んでいます。それはまぁひどいものでとてもひとさまにお見せできるものではありません。なのに俳号だけは一人前に用意しており、これが自分でもちょっとカッコ良くてお気に入り(笑)早く使いたい一心でそれだけの為…

「鯨の消えた入り江」意外なエンディングで不意を突かれたロードムービー

ご無沙汰しております。いろいろな事があったりいろいろと手を出したりしているうちに何カ月も経ってしまいました。よろしければ又お立ち寄りいたたければ幸いです… さて早速映画のお話など。 久しぶりに3作品ハシゴして気分よく過ごした過日、一番のお目当…

「ラスト・ダンス 破・地獄」香港の伝統儀式を通して家族の在り方を見る

こちらも東京国際映画祭にて鑑賞。 「ラスト・ダンス 破・地獄」 映画.com コロナ禍の不況により失業状態のウェディング・プランナーのドゥサンは、恋人の伝手を通じ葬儀社に転職することに。プランナーの経験を活かし新しいアイデアを取り入れてビジネスを…

「トワイライト・ウォーリアーズ 決戦!九龍城砦」思わず嬉しくなる迫力満載香港アクション映画

なんだかんだで初の映画祭、いろいろ観たなぁ…。取り急ぎ来年1月公開予定でイチオシの作品から。 「トワイライト・ウォーリアーズ 決戦!九龍城碧」 映画.com 1980年代香港。密入国してきた青年チャンは、裏社会のルールを拒んだ為に組織に追われるまま…

「百年の孤独」世界的大作を(やっと)読み終えました

世界の様々な作家や知識人から評されている本書。「常識として読んでおきたいわ」程度に思っていたところ「2024年に文庫化されるらしい」という声を聞き、ずっと待っていながらいざ発売時にはそのもの凄い人気に尻込みしてようやく購入したのが多分夏も…

「十一人の賊軍」迫力ある戦闘シーンで久しぶりに時代劇の醍醐味を堪能

東京国際映画祭のオープニング作品。チケット取れなかったので映画祭の後に観賞。 「十一人の賊軍」 映画.com 江戸幕府最後の将軍慶喜を擁する旧幕府軍と、薩摩藩・長州藩を中心とした新政府軍(官軍)との間で行われていた戊辰戦争のさなか。新発田藩は、官…

大好きな詩人を思う

谷川俊太郎氏がお亡くなりに。 多くの人と同じように、谷川氏の作品に出会ったのは国語の教科書。私の場合は「二十億光年の孤独」でした。授業でどんな説明がされたのか全く覚えていないけれど、壮大な宇宙と「くしゃみをする」日常が同居している詩の不思議…