「逆転のトライアングル」でセレブ達と一緒に無人島に漂流してみる

引越しの段ボールにまだ囲まれて生活しています。当座の暮らしが成り立っているのでま、いっかになりそうで逆にコワイ。。もっと酷い状態時に観に行った作品。お陰で現実逃避できました。

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映画.com

カールは今ひとつ売れない男性モデルに対して彼女のヤヤは超売れっ子のモデルでインフルエンサーというカップル。招待を受けて豪華客船のクルージングの船旅に。金持ちだけど曲者の人間たちと混じって過ごすある夜、船は難破し海賊に破壊されそのまま無人島へたどり着く生存者たち。そして食料も水もなくネットも使えない状況で実力を発揮したのはトイレ清掃婦だった。

予告編では、セレブたちが無人島に流され清掃員が活躍する、というところまで流していますが、本編では無人島に至るまでのシーンの方が長い。全編3つのパートに分かれており、ほぼ主役のモデルの男女のオーディション風景や仕事場、日常風景などから始まり、やっと豪華客船に乗り込んだ後も、延々セレブたちの贅沢三昧が映し出され、無人島が出てくるのはおよそ後半になってから。これなら予告編で言う必要が無かったのでは?と思ったほど。これに限らず予告編と本編のテイストが違うものが本当に多い。本作は面白かったし、期待はずれということでは無かったのでいいんですが。

その予告編ではドタバタコメディのような印象を受けますが、実際は貧富や男女の格差などシニカルな描き方が多く見られます。

冒頭のカールが属するモデル業界は圧倒的に「外見重視」。実は男性モデルの方が女性より遥かに収入が下回りしかも仕事も少ない、なのに贅沢な彼女には奢り続け体裁を保たなければならず、見た目の華やかさとは裏腹に結構シビアな生活。

悪天候の船中船酔いになりながらも豪華ディナーをサーブされ続け、ほぼ乗客全員嘔吐まみれで七転八倒する姿がこれでもかというくらい続くのも、着飾ったセレブたちを皮肉るかのようでなかなかシュール(欧米の人って嘔吐シーンに抵抗ないのか。あれを見ながらだとコーヒーも口にできないけれど…)。

そんな訳で冒頭にある「トイレ清掃員」はなかなか登場してきませんが、(多分考察も色々と出てきそうな)ラストを考えれば長々と写された「格差社会」は必然だったと言えると思われます。

さて原題「Triangle of sadness」は「眉間のシワ」の事。カールがモデルのオーディションで表情が固いと言われ指摘された部分です(上の写真でもくっきり見えますね)。邦題では無人島で属する階層が「逆転」することを示唆したのでしょうが、金やプライドへの固執は一旦手にすると手離すのが難しくなるのは、階級に限らず人間みな同じと思わされましたね。