「イルマ・ヴェップ」で懐かしのマギー・チャンを

長期休館中の渋谷のミニシアター、Bunkamuraル・シネマ。その再開までの間営業されているBunkamuraル・シネマ渋谷宮下。

大雨の日で傘もささずに迷ってしまいましたが、渋谷駅宮益坂下交差点近く。ビッグカメラの入っているビルにあります(渋谷TOEIがあった所なのですね)。

オープン記念企画として行われているマギー・チャン回顧上映。

www.bunkamura.co.jp

大好きなマギー・チャンだし、約一カ月もあるから何本か観に行けるよね、と思っていたらバタバタのうちに行けないまま時間が経ち、慌てて滑り込みのようにようやく観られたのが結局この一本のみでした。

「イルマ・ヴェップ」

https://eiga.k-img.com/images/movie/42495/photo/46f1b643bed8399b/640.jpg?1675735839

映画.com

舞台はパリ。「吸血ギャング」リメイク作品の主演オファーを得た香港スター女優マギー・チャンマギー・チャン)は製作会社オフィスに到着するが、撮影直前で忙殺されているスタッフは誰も対応できない。ようやく自分を抜擢した本作の監督に面談できたのもつかの間、慌ただしく衣装合わせの為に担当女性と街のSEXショップへ。体にフィットしたラテックス製の黒いボディースーツの衣装に戸惑いながらもようやく撮影が開始されるが、監督は終始不機嫌な挙句ラッシュ視聴後はスタッフと衝突し現場を立ち去ってしまう。監督の躁鬱病発作の騒動に巻き込まれたマギーはホテルに戻るも、頭が混乱したまま衣装を見にまとい部屋を出ると、映画のヒロインさながらに他人の客室に忍び込み宝石を盗んでしまう。

「自ら」を演じているので、ごく自然なマギーの演技が観られ、映画製作の舞台裏を映している事で、よりリアルでドキュメンタリーな印象にしているのが特徴的。

監督とスタッフが対立しているだけでなく、スタッフ同士も常に不協和音で、(香港スターなのに)十分な対応も受けられず終始居心地の悪さを醸し出しているマギーの表情も興味深いところ。

フランス人ジャーナリストがジョン・ウーを絶賛し本作のフランス人監督をこき下ろしているのも当時の(今もかもしれないけれど)芸術作品重視の欧州の製作の仕方や、安直に流行の監督を持ち上げるジャーナリズムを皮肉っているようで、なかなか面白いです。

ストーリー自体は割とあっさりした印象。言葉も文化も不慣れな異国で浮き上がるマギーだけが頭に残ります。

スタイルの良い彼女だけど、やっぱりボディースールよりチャイナドレスが観たかったなぁと。「花様年華」見逃したのは残念。又今度観られるかな。回顧上映は13日まで。