「2046」1960年代の香港の雰囲気にレストアで浸る

先日映画館で観てきました。ずっと観たかったやつです。やっとこれでウォン・カーウァイ三部作観れました。

「2046」

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引用 映画.com

ウォン・カーウァイの過去5作品が4Kレストアで再上映されるプロジェクトが実施されており全国で順次公開中のようですが、たまたま近隣の映画館で観ることができました。

欲望の翼」「花様年華」と登場人物が複雑に絡み合い時間軸も前後する三作。3つとも観てあぁそうだったのか、となるかと思ったら謎な部分はそのままで… でも独特の世界観に浸れて且つノスタルジックな気分にさせてくれます。

昔愛した女性が忘れられない作家のチャウ。滞在するホテル隣室の女、支配人の娘、女賭博師など、様々な女性と関わりあうも、束の間の付き合いで満たされず、やがて執筆するSF小説に自らや女性たちを投影させ…

映画自体のお話と、チャウの書くSF小説の内容が交錯して2つの世界を行き来しているような感覚になります。 

そこに他の2作の話も絡んできます。監督は続編ではない、と言っているように単独でも楽しめるのでしょうが、やはり前2作を観ている方が登場人物の変化をたどる面白さがあります。

そもそもこの監督、事前に台本や資料を渡さず現場でも話をガラッと変える事は当たり前なのだとか。「僕は慣れてるけどね」とどこかのインタビューでトニー・レオンは笑っていましたが。即興性を求める監督の映画に謎解きは際限がないような気も。

この映画自体多くのトラブルの為長い年月をかけて作られ、その間編集と撮影を積み重ねてきた作品(完成しないのでは?とさえ言われていたとか)ですが、本監督の他作品同様ストーリーを追うよりも「雰囲気」を味わうもの、と思って観ています。

主人公チャウはそのトニー・レオン。渋いです。煙草をふかすスーツ姿が様になってます。昔の恋人が忘れられないとはいえ、隣人の女性と刹那的な関係を持ち本気にさせながら捨ててしまう罪な男。哀愁が前面に出て嫌なヤツ感が潜むあたり素晴らしいです(褒めてます)。彼はこの頃が一番カッコよかったんではないでしょうか。でもヒゲのない「花様年華」の方がビジュアルもストーリーも好みなので、又別の機会に改めて。

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引用 映画.com

隣人の女のチャン・ツィーも一人二役フェイ・ウォンも賭博師のコン・リーも皆美しい。あの頃他の監督作品も含めたくさんの香港映画が上映されていた事を思い出して懐かしくもあります。画像1

引用 映画.com

さて、日本から参加した若かりしキムタク、頑張ってました。頑張っていたし案外たくさん映っていました。でも何でだろう、これと言って印象に残っていません。一人二役(日本人サラリーマンで支配人娘の恋人+SF小説の中の人物)を演じているとはいえ、話の本筋からみても大きなファクターではないはず。その割りにいっぱいアップで撮ってもらっているので余計に違和感があったのかも。

ウォン・カーウァイ監督作品、今回レストアされた5本には未だ観ていない作品もあるので、この機会に是非とも大きなスクリーンで観たいと思っています。当面香港ノスタルジーに浸るかな。