「存在の耐えられない軽さ」重い時代を背景に生きた3人の話

作家のミラン・クンデラ氏が亡くなりましたね。

著作と言えば「存在の耐えられない軽さ」しか知らず、それも先に映画を観てから本を英語で読んだ記憶が。でもやはり映画の印象の方が強烈でした。

「存在の耐えられない軽さ」

https://eiga.k-img.com/images/movie/46341/photo/05844744b6ac83b0/640.jpg?1469167716

映画.com

1968年のプラハ。有能な脳外科医のトマシュ(ダニエル・デイ・ルイス)は独身で奔放に女性と付き合うプレイボーイ。画家サビーナ(レナ・オリン)も数ある彼のガールフレンドの一人。ある日出張先のカフェでウェートレスのテレーザ(ジュリエット・ビノシュ)と出会う。トマシュに惹かれたテレーザは彼の部屋に押しかけそのまま同棲生活が始まりやがて結婚へ。それでもトマシュのサビーナを含め奔放な女性関係は変わらない。そんな生活が続くある夜ソ連の軍事介入が起きる。早々とプラハを去りジュネーブに向かったサビーナを追うように、トマシュとテレーザもジュネーブに入り新しい生活を始める。しかしトマシュの女好きは変わらず自分の写真家としての評価も得られないテレーザは緊迫状態の続くプラハへと一人戻ってしまう。

本作を観たのはドイツでした。全編ドイツ語吹替で詳細わからず二回観た記憶があります。ただの浮気男を巡る男女のお話かと思いきや、プラハの春が起きた当時の東欧の緊迫した社会が背景に。優秀だけれどフラフラと女遊びを続けるトマシュは、重い時代を敢えて軽やかに生きようとしているかのようです。

そんなトマシュに「あなたにとって人生はあまりに軽い。その軽さに私は耐えられない」と一旦脱出できたプラハに一人戻っていくテレーザ。

そして外科医の地位もパスポートも失いながらテレーザと共に暮らす事を決めたトマシュ。

一方で物分かりの良い遊び相手だったサビーナも出会いと別れを経験します。

相手への愛の重さを自分でも持て余しているような表情のジュリエット・ビノシュが本当に綺麗で可愛かった!本作で彼女が大好きになり続けざまに何作か観ましたがいつも脱ぎっぷりがいいですね(笑)。他もいい作品はあるけれど初期の彼女を思い出す時やはり頭に浮かぶのは本作。

ダニエル・デイ・ルイスも女性を見る目がねちっこく、いかにもプレイボーイなのにおじさん達にも好かれる憎めない男という感じが良かった。

レビューを見ると酷評もあって意外でした。ただの三角関係の話と思えばつまらないかも。しかし私にとっては忘れ難い一作。又いつか観たいと思っています。