「嵐が丘」で懐かしい松田優作の怪演を観る

エミリー・ブロンテ原作「嵐が丘」を鎌倉時代の日本を舞台に映画化した作品で、以前映画好きの方のおすすめに出ていたもの。アマゾンプライムのコレクション by Kadokawaで無料視聴できたので。

嵐が丘

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山部一族東の荘の当主高丸(三國連太郎)は都から連れ帰った孤児を鬼丸と名付け、下男とする。やがて成長した鬼丸(松田優作)に惹かれる高丸の娘絹(田中裕子)は、「娘は京に上り巫女として一生を終える」という一族のしきたりに逆らう為西の荘の嫡子光彦(名高達男)に嫁ぐ事に。式の前日、鬼丸と絹は結ばれ変わらぬ愛を誓うが、鬼丸は姿を消す。

荒涼とした山肌に立つ砂埃。眼前に広がるのは採掘場のような荒地。白黒映画と間違いそうになるくらいのモノトーンの画面が続き、何となく黒澤明作品を思わせます。

残念ながら原作を読んでいないので、どの程度忠実に描いているのか、或いは大胆に解釈しているのかはわかりません。

映画単体で見た場合、ゆったりとした口調や佇まい、モノクロに近い風景に時代劇ならではの重厚感があり、歌舞伎のような出で立ちや面が出てきて、独特のおどろおどろしい雰囲気には引き込まれます。

愛情がやがて憎しみとなり呪いとなるあたりは、松田優作の狂気を帯びた演技が見事。それを受けて立つ田中裕子も妖艶で怪しげな美しさ。

狂気や呪いに艶かしさを加える演出でしょうが、女性陣の脱ぎっぷりも凄いですw

時々映る街中(急にテレビのセットみたいに陳腐であるけれど)以外は、屋敷内での会話と荒野(馬を駆る)なので舞台劇のようでもあり、映像や演出が「実験的」にも感じられて、そこが面白みでもあるのかもしれません。

しかし大声で吠え暴れ続ける松田優作に少々辟易したのも事実。もっと静かな鬼丸も逆に不気味で恐ろしかったのでは。

何れにしても角川映画のキャンペーンが無かったら、そして松田優作がいなかったら観ていなかったかな、とも正直思いました。いろいろと懐かしい人たちが見られたのはよかったんですけどね。

同じ嵐が丘でもジュリエット・ビノシュが出ている作品もあるらしいので、いつかこちらの方も観てみようかなと思います。その前に長い(らしい)原作を読んでみるかな。