「プアン 友だちと呼ばせて」 洒落た映像と音楽でノスタルジーに浸る

先週は名画座やサービスデーを使って、贅沢にも4本も観てしまったシアワセな週でした。こちらはサービスデー(レディースデーという名でしたが男性もいらしてました)を利用して。

「プアン 友だちと呼ばせて」

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引用:映画.com

NYでバーを経営するタイ人のボス。タイに住む古い友人ウードからある日電話を受け白血病で余命短い事を告げられる。人生最後の頼みとしてウードはボスに、元カノを訪ねる旅の運転を依頼する。タイの各地をウードの元カノを順番に訪ねる二人。そして最後にウードはボスに今まで伝えていなかった話をする。

バーの経営と言いつつ女性客を相手に遊んでいそうないかにもプレイボーイ風なボス。チャラチャラした外見と行動が鼻につきそうなイメージですが、彼が何故こんな風になったのか。何故ウードが何人も元カノがいて長続きせず少なからず彼女らを傷つけてきたのか。それが一人の女性の存在であった事に繋がっていきます。

男二人のロードムービー。映像も音楽もオシャレ。タイはバンコクしか行った事無く、しかもあまりいい印象がなかったのに、単純にも何だか又行ってみたくなるくらいスタイリッシュに仕上がっています。

回想シーンに出てくるNYのバー、タイの豪華ホテルやビーチなどどれも素敵で(多分パタヤとか実際以上に綺麗に写っていそうな)そこに昔の彼女を訪ねて回るという旅。とは言っても訪ねてこられる彼女達にとっては迷惑な話。実際ビンタする人もいれば頑として会わない人も。

それぞれがウードに対して決していい思い出ばかりじゃ無い事もきっちり描いている点はとても好感が持てました。

ストーリーはこの「元カノ巡礼」と「一人の女性をめぐる話」でトーンが変わってきて、そこも面白いところ。

余命宣告を受けた人が登場しているわりに悲壮感があまり無いのは、やはり映像の綺麗さと音楽の良さもあると思います。DJ、ラジオ、カセットテープ…時代を感じさせてそれだけでノスタルジックな気分になります。

「青春ロードムービー」っぽい予告編だったので、もう少しさらっと乾いたイメージを想像していたけれど、思っていたよりもメロドラマでした。タイは湿度が高いからなぁ(違)。

でも何だかんだで最後まで好印象です。ラストもいろんな解釈が出てくるかもしれませんが、やはり「スタイリッシュ」と言う言葉に尽きるかな。プロデュースをしているウォン・カーウァイのテイストも加味されているのでしょうか。改めて彼の作品観て観たくなります。

タイ映画は(多分)初めてだったのですが本監督のバズ・プーンピリヤの「バッド・ジーニアス」はネトフリで観られるようなのでこれも楽しみ。