「アーセナルにおいでよ」起業する若者の爽やかな頑張り

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アーセナルにおいでよ」 あさのあつこ 著

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小さい頃から飛び抜けて大柄である事と人とのコミュニケーションが不得手である事がコンプレックスの千香。ある日長年音信不通の幼馴染且つ初恋の相手である甲斐から連絡を受け、起業する事、そしてスタートアップのメンバーに千香を招きたいと言う。不登校で引きこもりだった甲斐、詐欺事件に巻き込まれ逮捕歴のある陽太、経理・財務能力に長けたバツイチのコトリ。一見バラバラな四人が会社を立ち上げ軌道に乗せていく。

若い起業家たちの奮闘記。話し手が千香と甲斐の交互で物語は進むので、当然本作は二人の目線。起業に成功させるという目標とは別に、「内面に問題を抱えながらもそれを克服していく」という作品のバックボーンは主にこの二人を映し出すもの。逮捕歴はあっても基本ポジティブ思考で実家が太い陽太と、バツイチではあっても仕事ができ強気で判断も的確なコトリの二人からは、内面の葛藤みたいなものは特に見えてきません。

四人各自が胸に暗部を秘めながらもビジネスの成功でそれを打ち破る、というメンバー全員の成長物語を(勝手に)想定していたので、少し物足りないかなとは思いました。

しかし若いメンバーが、いろいろ障害はありつつも、一つ一つ乗り越えていく様は何だかアニメを見ているような爽快感があります。

起業するビジネスの内容に何とは無しに説得力が無かったり、問題解決のプロセスも都合よく進んだり、千香と甲斐のお互いに対する描写がやや冗長だったりと、個人的には気になるところは少々ありましたが、やはり爽やかな読後感は著者ならではでしょうね。

今回の朗読はアナウンサーの宮司さん。外見同様可愛らしいお声でした。

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