「墨のゆらめき」書の世界をテレビドラマのような設定で

久しぶりの三浦しをんをAudibleで。最後まで楽しく読めました。

「墨のゆらめき」 三浦しをん 著

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都内の老舗「三日月ホテル」に勤務する続力(つづき・ちから)は、実直そのものでよく人から声を掛けられたり頼み事をされてしまう程人の良さが風貌に現れているホテルマン。ホテルで開催するパーティーの招待状の宛名書きを依頼する為、書家である遠田薫を訪ねた力は遠田が手紙の代筆を副業にしている事を知るが、遠田の無茶振りで手紙の文面を考える役割を与えられる事に。代筆業を手伝ううちに、力は遠田の書の素晴らしさとその人となりに惹かれていく。

本書は新潮社とAmazonの共同企画で、全編の朗読(Audible)が配信された後に書籍が刊行されるというプロジェクトらしく、マーケティングとしても面白いな、と思います。

お客様のご依頼はどんな事でも引き受ける事をモットーにしている、まさにホテルマンの鏡のような力。対して書家にあるまじき風采で自由奔放な言動が目立つ遠田。正反対の男二人のコンビはよくある刑事のバディものを見るようです。

「書道」という古風なものを生業としながら破天荒に見えると遠田と、接客業に従事し実直そのものなのに一発勝負の競馬を趣味としている力。両極にいるようでどこか惹かれ合うものを、お互い感じあっているのが良くわかります。

手紙の代筆依頼ごとにストーリーが作られそのまま最後まで進むのかなと思いきや、途中から遠田の過去が明らかになる展開に。

この終わり方から推測するに他のレビューにも見られるように、これは続編がありそうな雰囲気… ついでに映画化やドラマ化もありえそうにも思われます。

それ程映像がイメージしやすい作品という事。ほのぼのとしたいいドラマという印象でした。