「異邦人」意図せずに京都の文化と日本美術を通して京都人に触れる

先月は夏の旅行後のコロナでダウンしてしまった影響もあってあっという間に過ぎてしまい、まともに本を読んでいませんでした。病床にある時こそAudible…と思ったものの実際しんどい時は集中して何かを聴くなんて出来ないものだとわかりました。

さて、これはお気に入り作家の一人、原田マハKindleで見つけたので。

「異邦人(いりびと) 原田マハ 著

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たかむら画廊の専務、篁一輝。妻の菜穂は上得意先である有吉家の娘であり有吉美術館の副館長でもあるが妊娠中の現在、東日本大震災による放射能汚染を危惧し東京から京都へ長期滞在させている状態。一次的な逗留と思っていた菜穂だが老舗の画廊で一枚の絵に出会いその作者とコンタクトする中、次第に京都の文化と暮らしに傾倒するようになる。

キュレーターである原田マハ氏らしく、美術品の描写は繊細且つ詳細。今回は日本画が主に取り上げられていることから普段馴染みのない世界ではあったものの、その細やかな描き方で(全くの門外漢であるにも関わらず)まるで自分もその場にいて鑑賞し同じような感想を抱いてしまうような錯覚に陥ってしまうのです。これはもう作家さんの力量なのでしょう。

さて、ストーリー自体は後半に向かうにつれてミステリーの要素を帯びていきます。とは言っても必要以上にハラハラする事も無いのが良いところ。

関東の人から見ると「神秘的」にも受け取られる場面がありますが、関西人の自分から言えば「いけず」のようにも思われ、そんなところも作品としては面白いのでは。

知らなかったんですが、本作ドラマ化されていたんですね。菜穂を高畑充希ちゃんが演じていたそうで。…そうかぁ…高畑充希ちゃんは好きなんですけどね… イメージ違うなぁと思うけれどドラマ観ていないのでコメント控えます…

いつも思うんですけれど(まだそんなに読んでいませんが)原田マハ氏の作品は美術品に対する愛情がとても濃く感じられるような気がします。その濃さ故にストーリーが(本作のようにミステリー要素があったとしても)それ程深みが感じられない気がするのは自分だけかな…

しかし美術への愛が感じられるからこそ又次の作品にも手を伸ばしてしまうんです