「古本食堂」古本と食の街神保町への愛が詰まった一冊

気になっていた作家さんをAudibleで。

「古本食堂」 原田ひ香 著

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以前に読んだアンソロジーの中で一番気に入ったストーリーの著者。

minonoblog.hatenablog.com

Audibleで結構配信されている原田ひ香氏。どれも「美味しそうな」タイトルばかりで迷ってしまいましたが、先ずは古本屋さんのお話を選びました。

北海道帯広で両親を看取った後一人暮らしをしていた鷹島珊瑚は、急死した兄滋郎が営んでいた神保町の古本屋を相続することになり、急遽単身上京する。店の経営に全く素人の珊瑚だったが、親戚で国文科の大学院生美希喜(みきき)に助けてもらいながら、書店を営み接客するうちに、古本の街に馴染んでいくが…

全部で6つの話に分けられていて、それぞれのエピソードに絡めて(実在する)古本と神保町の(これも実在する)飲食店と名物の食べ物が登場します。

お客を含み古書店に出入りする人達と関わりながら、珊瑚の秘めた想いや亡き兄の過去が明らかになり、学生の美希喜の進路も固まっていくというのが骨子になっていますが、各々のエピソードも関わりあう人達の暖かさが感じられるお話となっています。

本好きではありますが、実は神保町、カレーを食べに行った事しかありません(本書に出てくるカレー屋さんだった筈。確かじゃがいもが出てきた記憶が)。古書店って文学書や専門書がずらっとあるイメージで、実際生前祖父が行っていた店は小難しそうな本ばかりでした。

でも本書にあるように、お料理の本や写真集など気軽に読める本も沢山ある事に改めて気づかされ、ぐっと敷居が低くなったような気がします。

そして古本だけでなく美味しい飲食への愛情に溢れたこの街は、きっと本書にもあるように「街そのものが古本食堂」なのでしょう。

今年はAudibleのおかげで沢山の本と出会えて有り難かったのですが、紙の本の良さを再確認できたのも事実。年が明けたら神保町に面白い本と美味しいものに会いに行こうと思います!