いくつになっても「いたらない」人間なので、定期的にこういう類の本に救いを求めたりします。書いてある事は似たり寄ったりなのはわかっているんですけどね。しかしタイミングも手伝って、同じようなワーディングや思考であっても刺さったり刺さらなかったりする。。今回はどうでしょうか。Audibleで。
「怒らないこと」 アルボムッレ・スマナサーラ 著
知らなかったんですが、アメトークでもとりあげられていたんですね。本屋さんでも人気で長らくランキングに入っていました。
著者であるスマナサーラ長老は初期仏教の伝道師。今までにも沢山著書を出されており、講演もこなされていますね。
本作と並行してYoutubeで講演内容を見たのですが、これが結構面白い。
大らかにユーモアを交えズバズバと言い切り、お悩み事も一刀両断。
「何でもポジティブ、ポジティブと言う人間は馬鹿だし、ネガティブになり過ぎるのも病気」
「皆んな自分でストーリーを作り上げそれに固執してしまっている(そのストーリーを手離すのに瞑想を提言されていますが)」
さて、本書でも平素な言葉でブッダの教えを元にアンガーマネジメントを説かれています。
人間は愛情と怒りで生きているもの。怒りを無理に抑え込んだり我慢しても無駄な事。自分の中の負の感情(思い込みや執着等)が内側の怒りを増幅させている事をしっかり認識し、怒ったら負けだと言いきかせ、「怒り」を持たないようにすることが大事。
「愛情と怒りで生きているんだから、怒るのは自然だし怒ったっていいんだ」とそのまま放置していても怒りは出て行ってくれません。
怒りは「毒」しかも怒る相手を傷つけているようで、実は自分自身を内側から壊してしまう程大きな力を持っている毒なので、排除しようと努めないといけないのです。
しかし残念ながら、瞬時に怒りを消す方法が提示されているわけではありません。怒りの対象に向けた自分の負の反応をしっかり見つめ、怒りを持たないよう努める姿勢が大事なんですね。
いわゆるアンガーマネジメント本と見ると、取り立てて新しい指摘は無いかもしれませんが、徹底してブッダに言及し「怒りという毒を持つな」とするのは自分としては面白いところでした。
後は「自分は正しいと思うから他人の言う事に怒りを覚えるので、自分は間違っているんだと思えば良い」というのも達観した見方でしょう。
あまり正しくないと思い続けると自己肯定感が低くなりそうだしここは難しいところ。
「生きがいなんかなくていい」とややもすれば(怒りなど負の感情に通じる)執着や固執に傾きがちな目標志向の見直しを促している点が、自分としては響いたかなと思います。
いずれにせよ一朝一夕にはいかないので、気長に取り組んでいくしかないかな、と昨日もついブチブチ小言を言ってしまった事を思い出しながら考えるのでした。