「ゴッドファーザー」原作を読んでみると映画との違いや発見が楽しめた

ご無沙汰しています。

腰痛もすっかり良くなり、バタバタと帰省しいつものように実母周りのアレコレに対応しているうちにどんどん遠くなっていたブログ…

あぁこれではイカん!と久しぶりにキーボードを叩いています。腰痛復活しませんように。

さて、「ゴッドファーザー」です。映画の方は何回観たかわからない、という話はそれこそ何回もしていますが、

minonoblog.hatenablog.com

原作には手をつけていなかった事に気付き、一度は読んでみましょうということで上下巻一気読み。久々の翻訳本でした。

ゴッドファーザー」上・下 マリオ・プーヅォ 著 一ノ瀬直二 訳

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内容はほぼ映画のパートIとIIに相当。イタリア系マフィアのドン、ヴィトー・コルレオーネとその家族の生き様が、NY五大ファミリーとの抗争を交えて語られるストーリー。

人によっては「ゴッドファーザー好きなら原作を読むべし」のように言われるようです。

確かに、ハリウッド・スターのジョニー・フォンテーンやソニーの浮気相手のルーシーなど、映画では端折られている脇の人々に相当なページ数が割かれて、かなり深掘りされています。

その反面、三男マイケルへの比重が軽くなり、特にパートIIでみられるような彼の陰鬱とした冷酷さと、強くなる組織の裏で家族が離れていく様子などは感じられません。

どちらかと言うと「タフガイ」として描かれているんです。あまり悩みや葛藤を感じさせないと言うか。

そして犯罪を重ねる男たちの生き方を女たちは黙って受け入れるんですね。まさにハードボイルドの世界です。

マイケルの妻ケイも、夫のビジネスと称する所業(しかも妹の夫にまで手をかけるという)に理解できず一旦は家出するものの、顧問役のトムに説得されてあっさり帰ってきてしまいます。

なので原作を読む限りコルレオーネ・ファミリーのお話としてはハッピーエンドと言えるでしょう。映画ではどこを切り取っても悲劇にしか見えませんが。

映画だけではわからないけれど、原作を読めばこんな事もわかるよ、という「トリビア」的に楽しむのはいいかもしれません。

ちなみに個人的にあくまで映画の背景として知り得て面白かった点を。

  • 殺し屋ルカ・ブラージは、かつて(本当にとんでもない)かなりの悪党だったが、その罪を帳消しにし引き入れてくれた事でドン・ヴィトーに深い恩義と敬意を持つ。
  • 一方同じ殺し屋でもアルベルト・ネリはドン・マイケルの忠臣(映画では3部作全てに出演)で何故忠誠心が高いかが原作で読み取れる。
  • マイケルの最初の妻アポロニアは、マイケルを狙った車の爆破で亡くなるが、犯人のその後も回収される。

原作には無かった筋立てがあるとはいえ、映画の三部作全ての脚本にマリオ・プーヅォ氏も加わっていたので、原作者としての意図は反映されていたのでしょう。ファミリーの叙事詩としての完成度の高さがスクリーンから伺える気がします。