「お嬢さん」徹底した変態さを真面目に描いたサスペンス

パク・チャヌク監督作品を続けてアマプラで。「別れる決心」がマイルドなトーンだったので、予備知識無しで観たこちらは余計にぶっ飛んだようにみえました。

「お嬢さん」

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映画.com

1930年代、日本統治下の韓国。詐欺グループに育てられた少女スッキは、詐欺師の「藤原伯爵」から、金持ちの令嬢秀子を誘惑して結婚した後精神病院に入れて財産を奪い取るという計画を持ちかけられる。これに加担することにしたスッキは、秀子が叔父の上月と共に暮らす屋敷にメイドとして入り込むことに。支配的な叔父の下屋敷を出る事も許されない生活の秀子は、やがて献身的に尽くすスッキに心を開くようになり、一方のスッキも騙す相手である秀子に惹かれていくようになる。

イギリスのミステリー小説を題材に舞台を韓国に置き換えて撮られて映画。韓国と言っても日本統治下で、且つ屋敷の主である「叔父」は日本びいきらしく、人里離れた洋館の中は日本の美術品や書物が置かれ、少し国籍がわからなくなる設定が益々怪しさを感じさせます。

更にこの書物というのが春画というか官能小説の類で、これを秀子に朗読させて男たちに聞かせるシーンなど、何処と無く「江戸川乱歩」の雰囲気も見て取れます。

映画自体は3部構成。騙し騙されで話が二転三転しラストまでコンパクトに仕上がっていて飽きさせません。

結構大胆なシーンもありちょっとびっくりするものの、(しかもその前に春画やら何やらありましたし)逆にこれくらいのエロチックさもこの監督らしさのように思われます。

「性的な解放」という点からでしょうか、「哀れなるものたち」を言及するレビューも。まぁそういう見方もできるのか。しかし「官能と奇天烈」な世界に振り切った分、本作の方がシンプルに面白いと思えます。

何れにしても韓国を含め海外から見ると、日本人って真面目そうだけど実は結構変態なのだ、ともしかしたら思われてるんじゃないか、と変な心配をしてしまいました。思い過ごしだったらいいんですけどね。