「別れる決心」密やかな大人のサスペンスロマンス

先日観た「無名」に関連してよくネットに上がっていたのが「ラスト、コーション」。同じ時代背景のスパイ物という事ですが、こちらは更に恋愛要素高めのようで、残念ながらアマプラでは視聴不可。折角なのでヒロインだったタン・ウェイ出演作品を探していると、韓国映画に出ていたんですね。気になっていた作品だったのでアマプラで鑑賞しました。

「別れる決心」

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映画.com

山頂から男性が転落死する事故が発生。事故ではなく他殺の可能性を考える刑事ヘジュン(パク・ヘイル)は、被害者の妻である中国人女性ソレ(タン・ウェイ)を疑うが、彼女には当日のアリバイが。取り調べを重ねるうちにヘジュンはミステリアスなソレに惹かれていき、ソレも又ヘジュンに特別な感情を抱くようになる。やがて捜査の結果事故は自殺と見なされ、事件解決後連絡を取らずに距離を置いたままヘジュンは妻に勤務先近くに転勤となるが、そこで再婚したソレと偶然出会う。

既婚者である刑事と事件の容疑者との秘められた恋愛ドラマ。これまでもよく見られたシチュエーションではあるものの、ヒロインが中国人であるが故にダイレクトに言葉が伝わりづらい状況で、この「もどかしさ」が更にお互いの感情を濃厚にしているように思えます。

一応「殺人事件」なので謎解きは大きな要素ながら、様々な抑圧された状況下での男女二人の感情のやりとりの方に焦点が当てられているようです。

本作はパク・チャヌク監督。あの「オールド・ボーイ」の記憶からグロい描写も覚悟していましたが、そこは意外にあっさりした感じ。

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ラブシーンは殆ど無く、車の中で手が重なる場面とただ一回のキスシーンのみ。これって「花様年華」を連想させるのだけれども…

刑事役のパク・ヘイルはどこかで観たことあるな、と思ったら「殺人の追憶」で容疑者の青年役の人でした。本作では心身共に疲労した中年男性を演じていて、何処と無く佐々木蔵之介を思わせる風貌。

タン・ウェイは「魔性の女」というよりも「哀しさ」をまとった女性のイメージ。でもそれが余計に男性を惑わせた、という設定なのかもしれません。実際の彼女は現在女優は「副業」で子育てしながら農業を中心に生活しているそう。あぁだから「生活感」が漂っているのかな、とも。本作を観て、かえって彼女が昔演じた「男性を惑わせる女スパイ」を観てみたくなりました。