一種の自己啓発本ですが、「ファンタジー」のような筋立てで、小説のような読感。これもAudibleで。
「賢者の書」 喜多川 泰 著
画像引用 audible.co.jp
帯にあるベストセラーとされている「手紙屋」も「君と会えたから…」も読んだ事がなく、著者のデビュー作である事も知りませんでした。最近Audibleのおかげで手軽に読書しているおかげであまり「リサーチ」せずに行き当たりばったりで乱読していますが、本著もその一つ。
「ファンタジー系」の、それも「自己啓発本」となると大体の予想がつく内容ではありますが、自己の成長に必要となる項目がファンタジックなストーリーに沿って(ファンタジーによくありがちな無茶な展開もなく)コンパクトにまとめられています。
会社でうだつの上がらない(多分窓際族)日々の生活に嫌気がさし、急に思い立って小さい頃の思い出の地へと旅行に出た男。旅の途中で出会った少年から、不思議な「賢者」についての話を聞く事に。
少年は旅先で自分が出会ったそれぞれの「賢者たち」から人生の大切なものを得たことを語って聞かせます。その内容の一つ一つが本書の自己啓発のエッセンスになる訳です。
賢者が授ける大切なこと、というのは、
- 行動の結果は「成功」でも「失敗」でも無い(自分の受け止め方次第)
- (職業や地位など)何になるか、ではなく「どんな人間になりたいか」を考える
- 自尊心だけでなく(この世の全ての人を尊重する)他尊心も併せ持つ
- (成功者が「なるべくしてなった人だ」と思われるように)「成功者」にふさわしい人として日々を積み重ねる
- (誰にでも等しく与えられている)時間という財産を投資する
- 「与える」ことの大切さを尊重する
- 人はいつでも生まれ変わる事ができる
と、それぞれファンタジーにふさわしく具体的に優しい言葉で示されています。
そう言えば「言葉」も大事だ、と言っていましたね。実際に口に出す言葉だけでなく、頭の中で生み出す言葉も、結局その後の自分の態度や行動を引き出す要因となるので、ポジティブな言葉であればポジティブな自分に、ネガティブであればネガティブにと自ずとなるという事でしょう。
もちろん素晴らしいこの教えの数々も行動を伴わないと何もならない、というところまで書かれています。
正直、5年、10年前の自分だったら全く「ささらない」本だったと思います。でも、50歳を過ぎ「自分は全くツイて無い人生を送ってきた」と思っている主人公に、同じく50歳をとうに過ぎて同じようにツイて無いと思いがちな自分が投影されるからでしょうね。14歳の少年の言葉を受け入れていく主人公に、こちらも素直に頷ける気がします。
いくつになっても変われるしやり直して成功する事ができる。そしてそれは別に他人から「成功」と見られなくても自分が「成功」と思える人生であれば良し、とあれば、背中が押される思いですね。良書です。