久しぶりの「婦人公論」

本当に久しぶりに手にしました、この雑誌。

fujinkoron.jp

よく読んでいたのはまだ子供が小さい頃だったから15、6年前。子供に時間を取られてなかなか本が読めない中、比較的「読む」ページが多い雑誌だったので手にしたのがきっかけ。

女性誌とは言っても一般的なそれとはちょっと異質な感じ。カラー記事や化粧品やブランドの広告が殆ど無くて8割がた白黒です。でもその地味で無駄のなさげなところが、むしろ活字好きとしては嬉しい(広告少なそうだけど大丈夫なのか、と思うくらい)。

久々にページをめくると「60歳からの食べ方」や「93歳の精神科医に学ぶ…」など、いかにもシニアを対象とした内容から、今どきの中年層の推し活事情を反映してかキンプリやK-POPまで幅広い。このかたいテーマから下世話なものまで「いい感じ」にカバーしている女性誌といえばいいでしょうか。

その古めかしい雑誌名から察するように、創刊1916年の歴史ある雑誌。1998年リニュアル当初は主婦がコアな読者で、内容も「嫁姑」「子育て」など家庭問題が中心とされていたらしいですが、徐々に読者離れして遂に赤字転落へ。そこから試行錯誤を経て「主婦として」ではなく「一人の女性として」読者を捉えることにシフトチェンジして黒字に転換させたそう。

私が以前読んでいた時も既に家庭中心といった感じではなかったので、読者の変化を意識した後だったのかもしれません。

今回読んでいて印象に残ったのは、先頃亡くなった柳生博の息子さんの記事。長男も既に数年前にお亡くなりで、お父さんやお兄さんの後を継ぐ形で次男の方が八ヶ岳のギャラリーを経営されているというお話。

実は随分前に本誌だったか何の記事だったか忘れてしまいましたが、二人の息子さんがまだ小学生か中学生くらいの頃の御一家の事を読んだ記憶があります。とても仲の良いご家族の印象で、長男の事を「切ないくらいに僕に似ている」と言われていたんです。

何でこんなにはっきり覚えていたのかわかりません。私は姉と二人だし子供は娘だけなので、父親の息子に対する特別な感情みたいなものを感じたのかも。お二人とも亡くなってしまわれたのは残念ではあるけれど、昔読んだ記事の記憶がフッと蘇って不思議な気持ちでした。

いろんな記事がギュッと詰まった雑誌って、改めて読み物として面白いなと思います。そんな雑誌を巡って争う出版業界の内情にフォーカスした映画が昨年ありました。

movies.shochiku.co.jp

一癖も二癖もある役者揃いで文句なしに面白かった。何より観た後本屋さんに行きたくなるんですよね。映画も本も好きな自分としては嬉しい一本です。