「喜ばれる人になりなさい」ユニークで愛情深いお母さんの言葉が刺さる一冊

先日Audibleで読んだ「人は話し方が9割」の著者永松茂久氏。

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彼が事業家そして作家としてのキャリアに大きく影響を与えた母親の存在と、ベストセラー「人は話し方が9割」出版に至る経緯と秘話が盛り込まれた本書。「編集者が5回泣いた」なんて全米が泣いたみたいな殺し文句には乗らないつもりが、目頭熱くなりました。今回はAudibleではなくKindleで。

「喜ばれる人になりなさい」 永松茂久 著

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たこ焼き屋になりたい!」という夢も一風変わっているけれど、その中学生頃からの夢を宣言通りに実現させた著者。口コミから広がり後に大繁盛店となるたこ焼き屋さんだが、むしろそのビジネスを通して得たコミュニケーション力や人材育成マネジメントスキルを出版や講演で広めた事でその名が知られるところとなった著者。

多方面に精力的に活動する著者が、最も影響を受けたとされる今は亡き母親の、これまた人とは「かなり」変わったユニークな言動と深い愛情を、幼い頃からのエピソードを交えて語ったのが本書になります。

「人に喜んでもらう事が大好き」と公言していた母親。そしてそれは周囲も驚くほどの行動力で表して行くのです。

夢だったギフトショップを開店すると、お客さん第一に考え手間暇かけてラッピングや品揃えを工夫したり、急に「お坊さん」になって毎日多くの困った人の相談相手になってあげたり、フィットネスセンターを経営して女性客のフィットネスライフを応援したり。

健康志向でサプリは次々に購入するのに、息子たちの食事は結構いい加減だったりもする彼女。

豪放磊落な印象ですが、子供たちに向ける視線にはとても愛情深さを感じます。だからこそ息子たちも、学生時代はやんちゃでも、家族思いな優しい人間になるのですね。

そして息子たちも呆れるくらいに両親の仲がとても良い事も、この家族の素敵なところ。特に母親が病気で倒れてから、この男性3人が一致団結して何とかお母さんを支えようとする姿は印象的。不器用でも出来る事は何でもしてあげたい、とする彼らを時にユーモアを交えて描かれています。

最終的に「出版」という形で、人の悩みを解決し助ける人(メンター)でありたい決意する著者は、「日本一のメンターになる」という母との約束を叶えるべく、一冊の本を作り出し、そして約束通りにベストセラーを記録します。

「人は話し方が9割」を読んだときに、ゴリゴリのノウハウ本ではない優しさが感じられたのは、こんな背景があったからなのだと思いました。

本書だけでも良いのですが、「人は…」を読んだ後に本書を読むとまた印象が変わるのでは。家族愛だけでなく「本の作り手たちの思い入れ」も感じられてオススメです。