今年は終戦80年にあたることもあり8月に入ると戦争映画や反戦ドラマの上映が例年にもまして多く見られるようです。「終戦80年企画」と称して4K版リバイバル公開作品を終戦記念日に。
「ジョニーは戦場へ行った」
映画.com
第一次世界大戦下、ヨーロッパ戦線に出征した米兵ジョーは砲弾により目、鼻、口、耳を失い両手両足も切断され、皮膚感覚とわずかに首と頭を動かす能力しか残されない姿となる。既に思考や感情など大脳機能を失っていると判断した軍は「実験材料」として生存の維持を決定、秘密裡に研究観察をすすめるうちに、ジョー本人の頭の中では出征前の家族や恋人との記憶が回想され次第に意識が覚醒されていく。
小学生の頃テレビの「洋画劇場」で観た記憶が。モノクロ作品として認識していたけれど、実際にはジョーの記憶(カラー)と現実(白黒)で対比させていたのですね。
鮮やかで幸せな思い出がやがて現実とクロスした妄想へと変化する一方で、救いの無い実際の日々はモノトーンで突きつけられる…記憶や空想がカラフルであるほど、暗い現実が際立ちます。
「何も考えたり感じたりしないのだから実験材料にしよう」という軍幹部の思考が空恐ろしくSFを観ているような気にさえも。
本人に認知機能があると知るや(本人の意向を無視し)世論や対面を第一に隠蔽に走ろうとする体勢側の態度に、絵空事では無い恐ろしさを感じます。
戦争の悲惨さと同様に人間の尊厳とは何かを改めて問いただす映画でした。
