「プライベート・ライアン」壮絶な戦闘シーンは噂通りのリアルさでした

以前から観たかったスピルバーグ監督の戦争ドラマ。リアルな戦闘シーンとの評価に恐れをなして比較的精神状態のいい時を選んで鑑賞しました。アマプラにて。

プライベート・ライアン

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映画.com

1944年。フランスノルマンディー上陸の激戦で成功をおさめ生き延びる事ができたミラー大尉(トム・ハンクス)は、次の任務として「最前線で行方不明となったジェームス・ライアン二等兵の救出」を命じられ、自ら選んだ7人の兵士と共にたった一人を救う為激戦地へと向かう。

ライアン家の4人の息子のうち3人が相次いで戦死したため末っ子のジェームスだけでも祖国の母親の元へ帰還させよという上層部命令。

ん?特にエライさんの息子でもなく特殊技能の持ち主でもない若者一人の為に何故軍がこのような危険を伴う命令を出すのか?鑑賞前からの疑問でしたがこれは実話を元にした設定だったようです(第二次世界大戦アイルランドアメリカ人のナイランド家4兄弟のうち3名が戦死、これを受けて米軍規則「ソウルサバイバーポリシー」(家族の他のメンバーが軍務により死亡した場合その生存する兵士は徴兵や戦闘義務から除名される)に基づき残り1名の兵役終了と本国帰還が命じられたとのこと)。

実話では救出部隊が組織されることはなかったそうですが、こんな軍規があるのですね。軍としては国内の厭戦感情を避けたいというのが本音ではあるのでしょうが、一人を救う為に複数の兵士を出動させるという情があるようなないような。当然納得いかない気持ちを持ったまま救出に向かう兵士たちが不満を爆発させる場面も。

さて本作、冒頭にも触れましたが開始早々凄まじいシーンが何十分も続きます。吹き飛ばされる手足や内臓、千切れた体躯など、リアリティに徹した映像に心が持っていかれそうに。

しかし戦いの悲惨さ以上に、持って行き場のない怒りや悲しさ、善悪だけでは割り切れない感情など兵士の複雑な内面が描かれるには、このリアルな戦場とのコントラストは切り離せないものだったと思います。

「感動的」なエンディングはいかにもスピルバーグ。不条理さを感じたままで終わっても良かったのではとも思うけれどこれはまぁ好みの問題なのかも。

鑑賞後に得た苦くて重い気持ちは、平和な時代に生きる我々への警鐘のようにも感じました。