「スマホ脳の処方箋」デジタル社会で最も汎用されているツールを上手に付き合う方法

スマホに依存している自覚はないけれど、スマホを手にしない日はない事を考えると、そのリスクは結構高いのかも。もはや現代病ですね。最近物忘れがひどくなったと自覚するけれど、これもスマホが原因かも…ということで読んでみました。しかもAudibleで聞くという(笑)

スマホ脳の処方箋」奥村歩 著

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スマホ脳」のベストセラー によって、スマホ依存による使用過多の危険性が大きく指摘されるようになりましたが、実は本書の著者はその数年前からスマホと脳の関係性を医学的見地から注目していたのだとか。

自身でクリニックを開設し、物忘れ外来を診療の中心として展開している著者。その診察実績を裏付けとして、スマホ依存の危険性を改めて指摘しているのが本書になります。

スマホ脳」(アンデシュ・ハンセン著)でも言及されていたように、スマホ使用の習慣化により慢性的に脳が過労状態に陥っている事は最近よく言われるようになっています。

著者の奥村氏は更にその慢性的な「脳過労」が、働き盛りの中高年に、極度な物忘れやうつ状態までももたらす事を指摘しているのです。

米国で2011年頃に話題に上り始めた「Fomo」(Fear of Missing Out)。目まぐるしく変わっていく情報の氾濫に、追いつけず取り残されるのでは、という恐怖から常にネットに接続された状態に身を置く現代人を表していると言えるでしょう。

著者はここから転じた「Jomo(Joy of Missing Out)」つまり情報を見逃し取り残される事に対し不安を感じる必要はない、むしろ目の前にある事を楽しみ自らを取り戻そうとする考え方を支持しています。

しかしなかなかネットから離れる生活は現代人には難しい。それなら脳を鍛えれば良いのでは、と一時期流行った「脳トレ」の本やアプリに手を出すのも、結局は脳の一部であるWorking memoryを稼働させているに過ぎず、悪影響でしかないとされています。

ではどうすれば良いか。脳疲労を防ぐ為には、Default Mode Network(安静状態にある脳の神経活動)を活性化させることが肝のようです。

具体的には単純反復にあたるリズム運動や座禅など、頭をぼんやりと「休息脳」の状態に置くことが良いとされています。

他にも幾つか提案されていますが、要するに使用時間を短くするなど、上手に付き合うより手はなさそうで、そういう意味では述べられている「処方箋」に特に新規性はないかもしれません。

個人的には「スマホ認知症」なるものがあり、これは(いわゆる認知症とは違い)改善の余地があるのだと知った事は発見でしたし、むしろ認知症の恐怖に囚われている人が多い事も意外でした。

そう言えば休息脳の活性化の反復運動の一つにあったのがこれまた意外にも「皿洗い」。これは早速夫に報告して脳神経の活性化に更に役立ててもらわねば。