「鋼の自己肯定感」強い精神力の人が更に強くなれる本ではないでしょうか

自己啓発本の中でもここ最近よく見かけるキーワード「自己肯定感」。しかもハガネだそうです。カバーの絵もキャッチー。Audibleで。

「鋼の自己肯定感」 宮崎 直子 著

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「自分に自信をつけて自己肯定感を高める」「性格を変えれば自己肯定感を得られる」など、自己を肯定する為のあらゆる情報やノウハウが提示されている昨今。

しかし本書によれば、「正しい方法で身につけた自己肯定感」は上げたまま維持することができ、決して屈することのない当に鋼のように最強のものとして保持できるのだそう。

最先端の研究結果に、著者のシリコンバレーでのビジネス経験を活かした「ワーク」が、強い精神力を身につける具体的な方法として提示されています。

日本と米国を行き来する著者。特にIT業界に身を置き生活するシリコンバレーへのリスペクトは相当なもの。本書ではよく日本との対比で持ち出される彼の地。

日本では謙遜が美徳とされ何でも消極的だが、シリコンバレーでは自由でポジティブシンキング。例え解雇されても、「丁度休みを取りたかったところだから、思い切って旅行しようぜ」みたいな。

学校教育においても、内容の是非を問わず発言する事そのものが良しとされるので、何でもいいから意見を発した者勝ち。そうして幼い頃から自己主張を通して自己愛を育んでいるのがアメリカ…なのだそう。

…そうかな…

大枠として多分間違いではないようではあるけれど、どうも何十年も前の論調のような印象を持ってしまい、思わず発行年度を確認してしまいました。

ワークとして提唱されているアファメーションも、既に自己啓発系で何年も前に言われていたやり方で既視感が拭えません。

アドラー稲盛和夫氏にも言及されていて、「懐かしいなぁ」という感想。

むしろこの本が何故高く評価され支持されているのか、に物凄く興味が湧いています。

本書では、自己肯定感を自己効力感(目標を達成できるという感覚)と自己有用感(誰かに必要とされている満足感)と混合する危険性を示唆しています。

何かをやり遂げなくても、誰かの役に立つ事がなくても、ありのままの自分を受け入れ愛する事が自己肯定感であるからです。

この無条件の自己愛を救いと考える人が多い事が、本書の高評価に繋がっているのでしょうか。

「評価は評価」「自分は自分」と考えるのはある意味大事なこと。しかしアファメーションを何度繰り返しても、そう簡単には割り切れないくらいどの世界でも評価が付いてくるのは事実。

その落とし所は人によって異なるので、依然として悶々と悩みそうなんですが。それこそハガネのようにタフでないと。