「夜に星を放つ」天体をめぐる短編集をAudibleで

2022年直木賞受賞の短編集。Audibleで。

「夜に星を放つ」窪美澄 著

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婚活アプリで出会った男性と亡くなった双子の妹の彼氏との、それぞれに交流と別れを経験するOL、海辺の夏休みに年上の女性と出会う高校生男子、学校ではいじめを受け家では亡くなった母の亡霊と奇妙な同居をする女子中学生、別れた妻子が忘れられない一方で隣人のシングルマザーと交流が始まる男性、父親の再婚相手との微妙な溝が埋められない小学生…

全く違った5人が主人公となる短編から成り、唯一の共通点はお話に各々「星座」が絡んでいる事。

主人公はいずれも誠実に生きようとするも不器用で、人との距離がうまくはかれないように思われます。

題材は重めに転がっていくかと思わせながら、どれも「軽い」印象です。

直木賞選考にあたり、「コロナという困難なテーマから逃げなかった」点が評価されたとの事でしたが、コロナに触れているのは5つのうち2編。それもコロナである必然性は特に感じられませんでした。

先述した登場人物たちに感じる「人との距離の微妙さ」は、コロナでより一層浮き彫りにされた、と言いたかったのか。それにしてもインパクトはそれほど強くなかったです。

ボリュームも内容的にも割とサクサク読めて、Audible向きだったかもしれません。

5編いずれも平均的な印象でしたが、強いて挙げればお母さんのお化けが出てくる「真珠星スピカ」が「振り切った」感じで面白く読めたかな。

それにしても「夜に星を放つ」というタイトルが秀悦。個人的にはこれに惹かれて選んだので、やっぱりタイトルって大事だな、と改めて思ったのでした。