「カリートの道」堅気に生きる事を誓った男の夢と挫折を渋いアル・パチーノで

新年明けてから一人「アル・パチーノ祭り」(笑)アマプラで。

カリートの道」(1994年)

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ニューヨーク。かつて麻薬王として名を馳せたカリートアル・パチーノ)。やり手弁護士クラインフェルど(ショーン・ペン)の力を借りて5年ぶりに出所した彼は、犯罪から足を洗う事を決意しクラブの経営者に。昔の彼女ゲイル(ペネロープ・アン・ミラー)とも再会を果たし、誰もいない南の島で暮らす夢を実現すべく堅気に生きようとするが…

刑務所にいる間に「娑婆」では「仁義」や「義理」など程遠い世界になっている事に気付くカリート。既に足を洗うつもりでいるものの、もう自分はこの世界では生きていけない「古い」タイプの人間である事も痛感するのです。

もう人を殺めたくない心情と、借りた恩は返さねば、とする「仁義」の狭間で生きる彼の生き様は、任侠の世界を見ているよう。

「友人」と思っている人間や「弟分」として可愛がっていた部下に裏切られている事がわかっていても、突き放すことができず自分流のやり方を貫くカリートは、何だか「高倉健さん」のようです。

ラストがネタバレされている冒頭からオチがわかっているものの、「もう逃がしてやろうよ」という気持ちで見てしまう。それでもお決まりのような最後になってしまうものの、もうエンディングの曲に全部持っていかれてしまいます。

オーバーアクト気味のいつものアル・パチーノと比べて、抑え気味の演技が「もう若くない元ヤクザな男」が表れていて良かったです。

共演のペネロープ・アン・ミラーが何気に良いです。目立ち過ぎず消え過ぎず…マフィア物のヒロインって意外に難しいんじゃないかと個人的に思っているんですが、彼女は○でした。

ショーン・ペンのどうしようもないクズっぷりも良い感じでした。どうでも良い話ですが、本作を彼の名で検索すると必ず「髪型」が言及されているのですが、地毛を抜いて挑んだんでしょうか?演技はさることながら、見た目のインパクトも大きかったです。

ラスト近くの駅を舞台にした「追いかけっこ」はデ・パルマ監督ならでは。これがあってこそあのいつまでも余韻が残るエンディングになるのでしょう。

口コミを見ると低評価が意外とありますが、仕上がりがエモーショナルだからでしょうか。個人的にはとっても好きな映画。「男の美学」みたいなものを感じます。

でも「ヤクザもの」が続いたので、さすがにそろそろ違うジャンルに手を伸ばしたくなってきてはいますが。