「飲茶の「最強!の」ニーチェ」入門書からその思想を実生活に落とし込めるか?

昨年から始めたAudible。お陰で「読書」の概念が変わったような気がします。以前は積極的に手にしなかった本も気軽に読むようになったのは、自分としては一番のメリット。

もちろん「聞く」だけでは物足りない場合もあり、そんな時には素直に本屋や図書館で大好きな「紙」の匂いを嗅ぎつつ、あれこれ物色する楽しみも。

一方で「聞く読書」の楽しさもわかってきたかな、と感じます。そのお手軽さ故にジャンルを問わずハードルが低くなるのは事実。

本書もそのマンガ的な体裁から逆に敬遠しそうですが、哲学の鉄板ニーチェをどのように入門書として解説しているのか興味が湧いてAudibleで読むことに。

「飲茶の「最強!の」ニーチェ」 飲茶 著

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著者の哲学本は以前もAudibleで経験済み。

minonoblog.hatenablog.com

前回は哲学者を体系的に解説した入門書でしたが、今回はニーチェ一人にスポットを当てたもの。

「楽しさ」「わかりやすさ」を徹底的に追求したような著者の姿勢は変わらず、本書は「先生と生徒」という対話形式を取ることで、更に入門者の理解が深まるよう配慮されているようです。

旧来キリスト教思想を背景に、物事の「本質」を問う学問であった哲学に、「神は死んだ」という言葉でもって絶対的価値観の崩壊を説き、実存主義をつきつけたニーチェ

字ズラや一通りの概念はわかっても、結局実生活にその思想をどう落とし込んでいくのか。

19世紀に説かれた哲学が、意外にも現代の生活に積極的に活かせる事が著者自身の経験を基に述べられています。

「こうあらねばならない」という価値観を疑い、本来の自分とその生を肯定して生きる、とするのがニーチェの思想(と思います)。

まさに目まぐるしく常識や価値観が変化している現在、自分を見失わずに生きていくには、ニーチェの思想が役立つのかもしれません。

サクサク読み進める軽快さの本書。「わかった気にさせてくれる」だけでは勿体無い。折角の生きるヒントが実感できるよう、又読み返してみるのも良いかなと思います。