「新しい国へ」美しい国を目指したその考えに改めて触れてみる

いつか読むかな、と思いつつ後回しにしていたら、まさかお亡くなりになってから読む事になるとは。目指しておられた事を改めて文字で追いたくて手に取ってみました。

「新しい国へ 美しい国へ 完全版」新しい国へ美しい国へ完全版(文春新書)[安倍晋三]

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そろそろ「今年の10大ニュース」など発表される頃になりましたが、当然あの事件も入るのでしょう。

不幸な襲撃事件自体も、国葬儀是非を巡る世論の対立も、長い献花の列も、既に何だか遥か昔の事のようで、あれは本当に起こった事なのかと思う程です。

そんな折襲撃現場のガードレールが、当初の拡張工事を進めるべく、撤去されるとのニュースが。事件そのものを忘れたい、という市民の声もあったのだとか。そうかぁ…手を合わせお花を供えに行った日が遠くなってしまうかのようです。

そのニュースと同じ日に偶然本屋で目にしたのがこの本。

本書は、2006年に刊行されベストセラーになった「美しい国へ」に、2013年月間「文藝春秋」1月号掲載の政権構想を増補された完全版となっています。

本文では、著者が政治家を目指した背景と原点に始まり、「タカ派」「右派」と揶揄される論点にもなる国家安全保障についての考え方、日米間や対アジア諸国や中国との連携と関係性、そして教育を含む次世代の在り方や展望が記されています。

中でも悲願であった改憲については何故それが必要とされるのか、ページが割かれているように思われます。

本書が刊行された当初は全く政治に関心が無かったばかりか、著者に対してはかなり偏った見方をしていた私。相当マスコミの影響を受けていたのでしょう。もし当時読んでいたら印象は変わっていたでしょうか。

帯にあるように、「戦う政治家」であった著者が目指していた国の形が示されている本書。殊更に日本を美化する内容を連想させるタイトルですが、ごく平素な言葉でしっかり地に足のついた真っ当な事が書かれた良書であると感じます。

若者が夢と希望を持てる「再チャレンジ可能な社会」を提言し、まさにそれを体現して総理復活した安倍さん。日本が誇る政治家です。改めてご冥福をお祈りします。