「恋する惑星」ポップで斬新な映像と音楽を90年代の香港で

ウォン・カーウァイ4Kレストア版が上映中という事で先日観に行ったところでしたが、

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8月以降特集を組んでいる劇場「新宿シネマート」で近々特集上映が終了するというので、急いで立て続けに観に行きました。

引用:シネマート新宿

恋する惑星」(1995年)

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警官223号(金城武)はエイプリルフールに失恋した相手を忘れる為、その夜に出会う女性と恋をすると決め偶然入ったバーで、金髪にサングラスの女性と出会う。彼女は麻薬密売ディーラーで仲間割れから逃亡中の女。一方、バーガーショップで働くフェイ(フェイ・ウォン)は店の常連の刑事633(トニー・レオン)を密かに片思い。ある日店主から彼の元カノからの手紙を彼に渡すようにと託されるが、中に彼の部屋の合鍵が入っていた事から、彼の部屋に忍び込むようになる…

香港を舞台とする2組の男女の恋愛劇…ではありますが、金城武と金髪女性の方はホテルで一夜を過ごすも本当に寝てしまうだけで特に恋愛関係になることもなくあっさり別れてしまう。

ラブストーリーよりもドラッグ売買を巡る外国人との銃撃戦の方が印象的。いかにも治安の悪そうな繁華街の一画で銃を撃ちまくり喧騒の中追っ手をかわしつつ逃げ切る女性(最後までサングラスを外しませんがブリジット・リンです)。ピンヒールでそんなに走れないだろうに…そんな事はどうでも良いと思わせるようなハードボイルドチック。

それでも多言語を操り手当たり次第に女性に電話し、バーでも金髪女性に言い寄る若き金城武はやっぱりカッコいい。当時日本でも人気があったしドラマにも出ていたのが懐かしい。振られても振られてもめげない情けないけれど憎めない男が似合っています。

しかしやはり本作、何と言ってもフェイ・ウォンが可愛い!ショートヘアでマニッシュなんだけれどどこかコケティッシュ。男(しかも警官)の部屋に忍び込んで勝手に模様替えまでやって許されるのは彼女くらいでしょう(笑)。

相変わらず本監督のスタイルである「即興性」重視で撮ったと思われる本作ですが、フェイ・ウォンの自然体に堅物警官であるトニー・レオンが合わせていってるような雰囲気が感じられてそれも楽しい作品。

音楽も流行りましたね。この映画でCalifornia Dreamin'と並んで有名になった曲。カバーとは知らなかったけれど、原曲よりこちらの方が好み。

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モンチッチ(失礼)みたいなベリーショートは、ゴダール監督「勝手にしやがれ」のジーン・セバーグ、金髪にトレンチコートのディーラー女性はジョン・カサベテス監督「グロリア」のジーナ・ローランズへのオマージュと言われているそう。画像1画像4

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それにしても映画の邦題、納得いかないものが多いけれど本作の「恋する惑星」、素晴らしいセンスの良さに感動します。映像や音楽と共に遊び心が光っているようで嬉しい。

新宿シネマートでのウォン・カーウァイ監督特集は11月24日まで。