「明日に向かって撃て」お洒落なセリフと音楽で久々のポール・ニューマンが懐かしすぎた!

よく行く近場の映画館で「ポール・ニューマン特集」をやっていたので。小学生くらいの時大好きだったんです。マセてましたね(笑)。

明日に向かって撃て」(1969年)

19世紀アメリカ。銀行や列車を襲撃、強盗を続けるお尋ね者のブッチ・キャシディポール・ニューマン)とサンダンス・キット(ロバート・レッドフォード)。手強い追っ手に追い詰められた二人はサンダンスの恋人エッタ(キャサリン・ロス)を伴い南米ボリビアに逃亡。そこでも銀行強盗を繰り返す彼らはやがて警察に包囲される…

実話に基づく本作。断片的にはどこかで観ていた筈ですが、きちんと観たのは確か大学生の頃のリバイバル上映だったような。

西部劇さながらの銃撃戦と馬で逃亡する西部の岩場。繰り返し映される情景に「あぁこうだったなぁ」と記憶を繋ぎ合わせるような気持ちで観ていました。

あまりにも有名なこのシーンも懐かしい。バート・バカラックは1970年アカデミー賞作曲賞受賞していますね。画像3

出典:映画.com

相棒の恋人と二人、自転車で子供みたいなデートをする。お洒落です。ポップな歌と相まって、西部の片田舎がフランスの街中を思わせるシーンで、とっても愛すべき場面です。

若い頃に観た時はお洒落だな、カッコいいな、と思っていた本作ですが、登場人物の倍以上生きた今では、少し冷めた眼で観ている自分にも気付きます。

ブッチもサンダンスも強奪を繰り返す相当な悪党、ならず者です。サンダンスに至っては腕利きのガンマンで殺人も厭いません。それも生活に追われて仕方なくというよりも、楽に泡銭を手に入れたいから。堅実な人生よりも「太く短く」生きる事を望み暴走していく二人。金を奪っては贅沢に使い、持ち合わせが無くなれば犯罪を重ねる。

中盤で馴染みの警官に「お前らはもう真っ当に働く事なんてできない。血まみれになって死ぬだけだ」と言われるシーンがありますが、ほぼこの予言通りの結末を迎えるであろう当人たちに対して、その悪行を考えると同情の余地はありません。

追っ手の目を誤魔化す為に同行させた恋人のエッタも、「あなたたちが死ぬのは見たくないの」と言いつつ、南米への旅行中は結構豪遊しているし、金が尽きればちゃっかり一緒になって強盗している(一応職業教師なのに…)。しかもいよいよ捕まりそうになると「私は先に帰るわね」と彼らをおいて去って行く。ドライです。ここまで来たら最後まで一緒よ、てな事にはならないんですね。まぁ最後一緒に蜂の巣にされると別の映画になってしまいますし…

そんなあれこれ考える事自体「邪道」と思わせるくらいチャーミングなんですね、この映画。どんな悪人が主人公でも、脚本や音楽が良くて美男・美女が登場して監督が素晴らしく纏め上げると傑作になるという、何だか映画のマジックにかかったような気がします。

「テアトル・クラシックスAct2 名優ポール・ニューマン特集」では、本作を含む4本を全国順次公開中だそうです。ブルーアイの魅力を是非スクリーンで。

 

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出典:テアトル・クラシックス