小説に出てきた「真言」について

「旅する練習」のお話をしましたが、作中にしばしば出てくる「真言」。物語にも深く影響するのですが、真言そのものも興味深かったので、もう少しお勉強を兼ねて触れてみたいと思います。

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真言は、「サンスクリット語マントラ(Mantra)の訳語で、「(仏の)真実の言葉、秘密の言葉」という意味であり、「大日経」などの密教経典に由来し、浄土真宗を除く多くの大乗仏教の宗派で用いられる呪術的な語句である」そうです。(引用:Wikipedia)。

(全く関係ないのですが、この「呪術」という字、多分我々より今の子の方がすんなり読めるのでしょうね。。)

「旅する…」では、「私」と小学生の姪っ子亜美がお不動さんをお参りした際に石碑に刻まれた真言を目にする場面が発端になります。

お不動さん=不動明王真言宗をはじめ天台宗日蓮宗など幅広く信仰されている仏様。

不動明王

Fudō Myōō.jpg

引用:Wikipedia

インド神話に登場する三大神の一人の「シヴァ神」を起源とする説もあるのですね。

「シヴァ」

Murudeshwar Shiva.jpg

引用:Wikipedia

二人が旅の無事を祈る「滝前不動」の石碑に刻印されているのは、不動明王真言の中でも最も唱えられているとされている「慈救呪(じくじゅ)」。

「のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろしやだ さはたや うんたらた かんまん」

要約すると、「煩悩を打ち砕いて、仏道へお導き下さい」という意味になるのだそうです。

大日如来の化身ともされている不動明王。強い煩悩に縛られていると、大日如来が姿を変えてその煩悩を断ち切り、悟りを開かせて下さる、という事のようです。

不動明王真言については下記のYouTubeを参考にさせていただきました。他の真言についても解説されています。

www.youtube.com

長く細々とヨガをやっていたので、個人的には「マントラ」や「シヴァ」と聞くとぐっと親近感が増してしまいます。プラクティスの度に唱えたマントラは不思議と今でも覚えているし、スタジオに飾ってあったインド神話の絵も記憶しています。

遥か昔の人々の祈りが、形や様相を変えて静かに今の時代にも息づいている事に、何だか感動を覚えます。

小説の中では、小学生の姪っ子は意味のわからないまま真言を暗記し、リフティング練習の度に唱えます。でも闇雲に口にするのではなく、真摯に練習(修行)に向き合い願いを込めて唱える姿はまさに真言の意図するところと思われ、この小さな子供は理屈ではなく(真言を唱える)深い意味を汲みとったのではないか、と感じられるのです。

生活の中に宗教・宗派を超えて真言が生きるとするなら、きっとそういう事のような気がします。