価値観の変わっていく未来に、「イイね」が持つ影響を考える

山口周氏の三冊目。今回は対談形式です。Audibleで。

「世界観をつくる 感性x知性の仕事術」 山口 周 水野 学 著

世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術

引用:Amazon.co.jp

モノが売れないと言われている現代。しかし社会に過剰に溢れているのは「モノ」だけではなく、その「モノ」を作り出す思考の先、「便利さ」や「役立つもの」を追い求めた結果、辿り着く「正解」までがパターン化され過剰に提供されている。これからの市場におけるブランディングやプロダクトデザインを、「世界観」というの視点から語ったのが本書です。

「数値化と言語化で一様に辿り着く正解では今野差別化する事はできない」というのは、前回の山口周氏の本を読んで既に目にした彼の理論。

minonoblog.hatenablog.com

なので今回はまた更に新しい見解があるのかな、と期待したのですが、特に目新しい事はなかったという印象。

対談という形でしたが、違う意見を戦わせてそこから何かを引き出すという事もなく、どうも水野氏は山口氏の支持者のようで、終始同意しているか或いは自身の業績を述べているような感じしかなく、少し残念でした。

とは言え、繰り返しになりつつも、「これは役に立つぞ」と説得に出るモノよりも、「これには意味があるんです」と共感に訴えるモノの方がこれからは価値があるのだ、という本書の趣旨には説得力を感じます。

というのは並行してこの本を読んだから。ちょっと古い本(2011年)になりますが、Kindleで。

評価経済社会」 岡田斗司夫 著

引用:Amazon.co.jp

山口氏が「共感」に価値を見たのと同様に、岡田氏は他人からの「評価」が何よりも価値とされる社会になり、それが経済を牽引するのだという自論。社会は今まさにそのパラダイムシフトにあると著者は指摘するのです。

どちらかというと(山口氏の「世界観」より)こちらの方が興味深く読めました。本書から約10年。答え合わせのように見ていくのも面白いかな、と思います。

YouTubeでの発言もあるので、一度聞いた話も出てくるので重複する内容も。しかし先の見通しが難しい今、不安要素はいろいろありますが、考え方のヒントとして参考になるのでは。

「共感」や「高評価」だけが価値の主軸になるとはちょっと納得しづらい部分もありますが、価値観が変わっていく事を考えると、大きく影響する観点であることは確かなようですね。