ユーチューバーが消える未来をオタキングの本で考えて見ました

岡田斗司夫氏のYouTube、(切り抜き専門ですが)時々みています。概ね内容は重複するのですがヨミモノとして改めて。たまには使わねば、とKindleで読んでみました。

「ユーチューバーが消滅する未来」 岡田斗司夫 著

引用:Amazon.co.up

アニメもゲームもさほど詳しくないので「オタキング」と言われる著者の事は殆ど知りませんでした。多分ジブリか何かの解説をYouTubeで見て「面白い解釈だな」と思ったのがきっかけで時々彼のチャンネルをみています。

サブカル分野だけでなく時事問題などにも独自の解釈を繰り広げる岡田氏。過去には何だかスキャンダルっぽい事もあったようで、人によっては好き嫌いはあるのかもしれませんが、私は結構興味深く見ていますね。

本書は、発売された2018年から10年後の世の中がどうなっているかを、様々な角度から予測する形で綴られたもの。決してユーチューバー界隈の事だけ言っているのではありません。

占いではないので、当たった当たらないで読むものではないにしろ、発売から4年後の現在、著者が予想していた形がちらほらと現実に見えてきています。

例えばYouTubeへの芸人やアイドルなど「芸能人」の参入加速、家庭用AIロボットの普及、などなど。AIによって仕事のあり方が変わる事や人々のSNSなどによるコミュニケーションの変容(「盛り文化」の加速化など)は他でも指摘されていたので目新しくはありませんが、そこから見える人々の意識の変化などはなかなか面白く読めます。

YouTubeで本書に言及されていた時にも個人的に気になっていたのは、「外国語学習」についても著者独自の解釈。

この先人工知能の発達で機械翻訳の精度が増し、ほぼ自動的に多言語への翻訳・通訳が可能となる。言語の「垣根」が取り払われていき、もはや外国語を学ぶ必要が無くなるのではないか、というもの。

詳細に言えば、言語を習得する必要はなくなって、もし必要性があるとすればその言語を話す人間の思考回路やロジックを理解する事(多分AIがその分野をマスターするにはまだ何十年もかかるだろうから)くらいではないか、と言うのです。

実は言語学習については同じような事を考えていました。

昔、社内翻訳をしていた頃、機械翻訳はまるで使い物にならず、機械に読み取らせるための作業(ローカライゼーション)が必要とされていました。しかし数年も経たないうちにGoogle翻訳など無料で使えるネット翻訳でもそこそこ利用できるレベルになったんですね。

これには正直驚きました。今から30年くらい前だったと思います。これはもう翻訳・通訳作業は機械が取って代わって、もし人間が残るとすれば相当レベルが高いかあるいは単価の低い仕事を数でこなすレベルの二極化になるんだろうな、と思ったものです。

本作を読んでいてその頃の事を思い出していました。これは外国語学習が不要になる、というのではなく、学習するのであれば前述の通りネイティブの思考回路がわかる(それもかなり正確に)レベルまで求められるという事なのでしょう。

この他様々な切り口から未来を予測する著者。いろいろ書かれている割に最終的には(オタキングの著者らしく)他者からの評価を高めキャラを確立する事で強い影響力を保てる、という楽観的なまとめ方がされています(個人的には、そこは額面通りには受け止められない気がしますが)。

この「評価経済社会」については別本を読むとして、何れにしても著者の思想がわかりやすくまとめられている本作は、予想しづらいとされる未来についての考え方の一つにはなると思われます。