国際問題を「地政学」の観点から

コワモテ佐藤優氏の著書をAudibleで。

佐藤優地政学入門」 佐藤優 著

佐藤優の地政学入門

引用:honto.jp

地政学(Geopolitics)とは、地理学(Geography)と政治学(Politics)を合わせた用語。各国の政治的、社会的、軍事的な影響を研究する上で、その地理的条件を重視する考え方のようです。

佐藤優氏の著書なので辛口で難しい解説では、と思っていましたが、タイトルにもあるように「入門書」であることから、それぞれの国や地域が他国と関わり合ってきた歴史的背景を、各国の地理学的な見地から説明し、そこから現在まで至る問題点を説明しており、非常にわかりやすい一冊となっています。

Audibleでも付属資料は閲覧できるので、イラストや図解が多く使われている事がわかり、この点でも「分かり易さ」に徹底したものと言えるでしょう。そういう意味ではAudible向けではないと言えますね。

大国であるアメリカ、中国、ロシアから始まり、アジア各国に目を向け、さらにヨーロッパと中東の関わりを解説、そして国際的未来を予想しています。

ランドパワー国家(大陸勢力又は陸上権力。中国、ロシアなど)とシーパワー国家(海の勢力。日本、アメリカなど)の対立構造、ナチス・ドイツが取り入れた地政学など歴史的観点から、移民問題が及ぼす影響など現在にまで至る問題も広くカバーしている本著。

その為か残念ながら日本について触れているページはさほど多くありません。広範囲に且つコンパクトにまとめられているので、それも致し方ないのかな、と思われますが。

最近で言えばロシアのウクライナ侵攻についても言及されています。元ロシア担当の外務省職員である著者がどのように解説するのか興味深かったのですが、期待していたほどには深いコメントはありませんでした。忖度があったのか?入門書であることを優先し世界全般を広く網羅することを第一としたのか。

何れにしても、この一冊を足がかりにして、更に他の地政学について読んでみるなり、或いは本著者の他の(多分もっと突っ込んだ事を書いてそうな)本に手を伸ばしてみるなり、もっと深く知りたいと思わせる本でした。