書店でよく目につく本作。売れてますね。Audibleで聞いてみました。
「バナナの魅力を100文字で伝えてください」 柿内尚文 著
引用:Amazon.co.jp
「伝える」というコミュニケーションの肝にフォーカスして書かれた本。人に長々説明しても全く伝わらない、あまりわかってもらえない、などの経験は誰しもあるもの。しかし伝わらなければ「存在すらしない」事と同義である、と著者。更に「伝わった事」に基づいて人は判断するので、時に正しいかどうかが重要視されないことすらある、と指摘するところから、本作は始まります。
しかも話し方が上手いからといって、伝え方が上手いとは限らないという著者は、「伝わる為の」基本的な要素を、ゴール設定、納得感(理解)、相手ベース、見える化(具体化)、聞く力、親近感、信頼感と大きく7つ挙げ、更に「伝わる」技術として様々な具体的方法を説明しています。
数字や例えを引用し、比較で要点を際立たせ、伝わりづらい場合には言い換え、時には芸人さながらに「フリ」と「オチ」を巧みに使って話をする…相手にわかってもらうためにはこれだけ努力しないといけないのか…
数々の実践方法を示す一方で、「伝わっている」人はムダな努力はしない、とキッパリ述べています。
技術的な事を駆使するのも大事ではあるけれど、その前にメンタル面の大切さも説いている著者。
伝わらない、伝わり辛い、と言って怒ったり不機嫌になると、いくら伝わる方法を使ったとしても結果的には「伝わらない」状況を生み出す為、そのようなムダが生じないように伝わる人は「やさしさ」を武器にして対応しているとも。
いろいろ具体策は挙げられているものの、感情的になると元も子もないですよ、と言う事ですね。
人は忘却する生き物だから、今伝えた事も(仮にわかってくれたとしても)何時間、何日かの後には、記憶にのこっていないという状態も多々あるもの。それでも大切な事は繰り返してでも伝えないといけない。そんな時に(ひとりよがりにならずに)相手のわかりやすさを念頭においてコミュニケーションしているか。そんな事が問われているようです。
どれもわかっているようで実践は難しく、やっている気になっていても恐らくそれは勘違いで、(わかろうと努力してくれている)話し相手の好意に甘えているだけなのかもしれません。
さて、こうして文章を書いている時も、どれだけ自分の思っている事、感じていることが伝わっているのか、常にもどかしさを感じています。本作のアドバイスが実践できて少しはマシになれば良いのですが…