漫画のような入門書で哲学をもっと身近に

私のような初心者レベル向けと言うんでしょうか。タイトル通りの哲学入門本。表紙もなかなかインパクトありますが、哲学者同士にバトルをさせそれぞれの思想を戦わせる筋立てもまるで漫画本のよう(「バキ」って何なのかとググってしまった私)ぐっと砕けた文体も哲学本とは思えないくらいです。Audibleで。

「史上最強の哲学入門」飲茶 著

引用:Amazon.co.up

一見奇を衒ったような印象ですが、各哲学者の主張が年代を追って体系的にまとめられていて素直にわかりやすく、哲学に興味を持ちはじめた人のレベルにあわせたような構成。名前しか知らなかった、或いは遠い学生時代にそう言えば教科書に書いてあったな、くらいにしか記憶にない事が(深く理解できたかは別として)少しづつながらもクリアになって万年初心者としてはありがたい一冊。

一方、各時代の思想家エッセンスのピックアップになっているからか、本書レビューには「哲学史入門ではないか」という指摘も。まぁいずれにしても入門書ですからね。

本書では言葉が名言化され一人歩きしている例にも言及されています。例えばソクラテスの「無知の知」。

一般的には、「自分は何も知らないということを認識している。知らないと謙虚に認めている自分は偉い」というニュアンスで使われる事が多いようですが、真意は違うらしいです。

(もっともらしい言葉を操る中身のない当時の政治家に反し)自分が真理については何も知らないと自身の無知をさらけ出し、そこから議論することによって真理を求めていた、というソクラテスの姿勢を表した言葉のようです。

私もどちらかといえば誤用に近い解釈をしていたかもしれません。

さて哲学といえば、結婚前に既に他界し面識のない義父がキルケゴール全集を遺しており、回り回って今我が家にあります。

義父はキリスト教を信仰しその布教に長らく従事した人でした。今回読んだ本作ではキルケゴールについてはそれほどページは割かれていません。主な思想として「(未来にわかるかもしれない真理よりも)今現在個人が知り得るもの、その為には死んでもいいとさえ思えるものが真理である」とまとめられています。

自らの苦悩と生涯信仰を通じて向き合ってきたキルケゴール。義父はそこに自身と何らか共感したのでしょうか。

語学、ヨガ、心理学など興味の対象が重なっていた義父。共通の話題が持てたのにな、と会えなかった事を残念に思います。 

せめて遺されたキルケゴールを、と思ったけれど1ページ であまりのハードルの高さに断念したまま。これを機会に再度トライしてみようかな…