映画感想です。「スイング・ステート」

予備知識全くないままに観たけれど、「アタリ」でした。面白かったです。

画像:引用 公式サイト https://swingstate-movie.com/

どの国も「政治」「選挙」が絡めばドロ臭くなるもの。そのドロ臭い争いの典型的でわかりやすい米国の「共和党」と「民主党」の戦いを、激選区「スイングステート」の町長選と通して描いた作品。と言ってもお堅い映画ではなくコメディ。たくさん笑わせてくれました。

別に政治なんて興味ないし…と思っている人でも米国の二大政党は名前だけなら聞いたこともあるでしょう。そういう私も実はさほど詳しくはないのですが、2年前の大統領選は他国の選挙でありながら結構まめに追っていました。主にネットニュースでしたがメディア上でも選挙戦の様子は最後まで白熱化を見せていて、4年に一度の国をあげての一大イベント、という感じ。

本作はその4年前、共和党に「まさか」の敗北を喫した直後、激戦州(スイング・ステート)の町長選を利用して起死回生を図ろうとする民主党の「選挙プロ集団」が、これを阻止しようとする共和党の陣営と戦う様を描くもの。

ただの町長選のはずが、どちらも党の威信を賭けて全国レベルの規模のプロジェクトを立ち上げ、やることも段々とヒートアップ。

主人公は民主党のベテランコンサルタント。プライベートジェットに乗りモッツァレラの入ったカプレーゼを食するインテリだけれど、この田舎町では「ハンバーガーとバドワイザー」を注文し、お砂糖たっぷりのコーヒーとお菓子を食べて「庶民派」を装います(でも実はそれもバレてるんですが…)

資金を集めるため候補者を連れてNYの党の有力支持者のパーティーにいくのですが、そこにいるのは現地の状況や政情など何の関心もない「意識高い系」のお金持ちばかり。

両陣営ともデータと数字で動いている様子の随所に細かい皮肉や嫌味が込められています。

結局肝心の選挙はどうなるのか?最後はちょっと思いつかない展開になって溜飲が下がる形に。

ティーブ・カレルは、野心家でプライドの高いエリートなのだけれど自信満々ながらやる事が一つ一つ下手に転んでいく男を演じていて、いかにも「こんな奴いそう」と思わせてくれます。「マネー・ショート」や「バイス」など社会的・政治的なテーマだけど軽快なテンポの作品、というのが似合う人というイメージです。

本作自体は右寄りでも左寄りでもなく、あくまで選挙活動を通じた政治の「馬鹿馬鹿しさ」を取り上げたもの。更に巨額のおカネが流れるシステムの欠陥まで浮き彫りになるというオチまでついて、楽しくお勉強できます。こうなると次の大統領選もウォッチしたくなるけど、その前に自国の選挙。大事な一票を投じましょう。