好きに生きて「80歳の壁」を超える

まだまだ先だと思っていた「老後」がもう間近。実際、実母・義母とも90歳(同い年なんです。偶然なんだけど同じ月生まれ)なので親世代のお話のようですが、正直我が身に置き換えて読んで(聞いて)ました。

 

精神科医の著者はたくさんの高齢の患者を診てきた経験から、70代、80代の人達が心身ともに健康で楽しく、真のクオリティ・オブ・ライフを充実させた生活を送ることのできるようにいくつもの提言をわかりやすく示しています。

「食べたいものを食べろ」「医療に頼るな」「運転免許証は返納しなくて良い」など、それぞれご自身がこれまで診察されてきた臨床経験に基づいてアドバイスされています。基本的には「イヤなことは我慢しない。好きなことだけすれば良い」がベース。無理なことに強制されずに、気持ちよく生活の質を上げて余生を過ごすことを推奨されています。

個人的に気になったのは、「80歳過ぎたらガンが見つかっても(その後の転移はゆっくりであることが見込まれるから)切る必要はない」ということ。

実母は5年前に胃がんが見つかり、当初は「一部分のみ摘出」と言われていたのが、実際には想定より大きいため殆ど全摘に(本著にも同じような事例が出ていました…)。実際の手術は成功し、術後5年経ってもおかげさまで予後は良好でした。

でも小さいながら別の器官に良性の腫瘍らしきものが見られるので、これはこれで定期的にトラックしていく必要が。本著でも指摘があるように、年をとると程度の差はあれどガンは持っている事が「普通」で、無理に切り取っても高い確率で他の臓器にまた別のガンが見つかる、とされています。

切る、切らない、の判断は病人の状態や考え方により、どちらが正解かはわからないものの、術後の生活がどのように影響されるかをよく考えてから決める必要があると言われています。

ウチの場合も80を過ぎてからの大手術でしたが、本人の頑張りもあり今も自分で身の回りのことをやっています。ただ昔と比べると食がかなり細くなった為体重も増えず体力も落ちているので、思うように動けないことに本人は苛立っているようです。

あの時手術以外の選択肢は考えられなかったけど、もし先生から「切らないという方法も考えてみては」と言われていたらどうしただろうか…と今更ながら考えたりします。本人は悪い所をキレイに切り取ってもらった!と満足しているのですが…

機嫌よく暮らしてくれているので良しとすべきか。気持ちよく生活してもらえるように、本著にあるアドバイスのできるところは参考にさせてもらおうと思います。

検査数値に振り回されず薬漬けの状態を避けて生きるには、(大病院ではなく)本当に信頼できるホームドクターに診てもらうことが大事、とされています。これは年を取ってから、というより健康なうちに心がけておきたいですね。