ちむどんどん はしていないけど観ています

あまり評判のよろしくないNHK朝のテレビ小説。反省会というハッシュタグまでできて、毎回粗探しのコメントが並んでいます。的を得ているものもあるので本編のドラマより面白かったりするのですが…

主人公は既に東京に出て働いている設定なので、厳密に言うとドラマの舞台は沖縄ではありませんが、下宿先が沖縄風居酒屋であったり、実家のエピソードが必ず挿まれたりで、終始沖縄モード。故郷を出て5年以上経っても主人公の方言を聞いているだけでそれと伺えます。

私の父方は沖縄でしたが、方言には馴染みはありません。家族皆完璧な関西弁。でも県人会などで話すのを聞いていると、独特のイントネーションであることは小さい頃でもわかりました。今でもドラマを観た後は自分でも抑揚がおかしくなりそうに(笑)。

主人公の姉の嫁ぎ先が結構保守的な家柄で、夫がその長男という設定から、いろいろと旧態然といったやりとりが出てきます。

ツイッターなどでは「信じられない!」と言うような意見が見られますが、個人的にはよくわかります。沖縄は儒教の影響が大きく先祖崇拝の思想で、家やしきたりを重んじることが多く、実家はその典型みたいなものでしたから。

祖父が生きていた頃は家の中で一番偉いのは「おじいさん」。絶対的な権力持っていました。祖父と話す時は家族みんな敬語使っていましたね。口答えは勿論許されなかったし。

帰宅した祖父や父を玄関まで行って三つ指をついて「お帰りなさい」と出迎えるのは当たり前。遅れようものなら烈火のごとく叱られました。

年長者を敬うのは、家庭内だけでなく県人会などのコミュニティでも。なので多分その頃最年長だった祖父は同郷の人達に崇められていたようで、ほぼ毎日誰かが訪ねて来ていました。

お正月など、世帯主の父より祖父のお客さんの方が圧倒的に多くて、しかも酒が強いからなかなか帰らない(笑)。父の来客を合わせると三が日朝から晩までほぼ誰かがいる状態。まぁそのおかげで毎年お年玉は凄い金額をいただいたものでしたが。

ご先祖のお命日やお彼岸のお供え物は独特で細かい決まり事があったので、母はだいぶん苦労したようです。

祖父が亡くなり父の代になると来客もぐっと減り、父の退職後はお正月でさえ殆ど誰も来なくなったので、あんなに「寝正月」に憧れたのにそうなるとなんだかさみしく思えたものです。

一人暮らしになった母は、「もう昔みたいにはできないから省略させてもらう」と言っていますが、今でもお命日のお供えや毎日のお茶湯は欠かしません。

封建的で堅苦しく、早く出ていきたいといつも思っていた実家ですが、住む人がいなくなっていくと、賑やかだった頃がやたらと思い返されます。

ドラマのようにキャピキャピ明るい家族ではなかったなぁ…と思いながら、しばし沖縄に触れる毎朝。とりあえず最後まで観ると思います。多分ね。