推しは推せるうちに

彼らをYouTubeで初めて見たのはもう4,5年前。このジャンルにハマった娘たちの影響だ。歌番組のステージでは歌もダンスもとりたてて印象に残らなかった。でもMVを観た時10代の脆くて儚い一瞬の輝きみたいなものを詰め込んだようなコンセプトが「面白いな」と。「大人はわかってくれない」的なイメージ。ティーザーが出た直後から複雑な筋立てが予想され、それを追う「解析班」のコメント。いろいろと新鮮で楽しかった。

何かと言うと投票方式が採用されるあちらのポップ界。その為に必死に頑張るファンダムは異常なくらいの熱量でMV再生回数にも貢献する。その大きな集団をリードする人達は、大砲みたいな望遠カメラで撮影禁止の筈のステージをほぼ黙認された状態で撮りまくる。ちょっと理解しがたいところも踏まえて未知な世界だった。

投票もリクエストもおばさん同士でツイし合うので、まるで「遅れてきた」女子学生のノリだ。音源はYouTubeで聴けるからCDはもはや「推しに貢ぐために買う」ものであるらしい。私は常識の範囲だったけれど大金を使う人は少なくない。推し活は大変だ。

初のドームツアーと聞き急ぎFCに入会。激戦をビギナーズラックで勝ち抜き東京、大阪と参戦。この頃いろいろあって世間的にバッシングも大きかったので、初参戦の私でも会場の一種異様な雰囲気や客席のギクシャクした反応を感じたことが、今では懐かしい思い出。

それからあっという間に随分とビッグネームになってステージより社会活動でよく見るようになり、もうがむしゃらだった頃とは遠く感じられてFCは延長しないままに。こちらが離れてしまった間にも更に有名になり随分と知られるところとなった彼らが、久しぶりにVライブでコメントを出した。

今後はグループ活動よりもソロ活動に注力するらしい。もうグループとしての方向性を見失ってしまったのだとか。一体どこに向かってるんだろう…とこちらが思っていた以上に本人達も感じていた、という事か。アイドルであることで自分が成長できなくなったと感じているとも。

ただただ走り続けた結果迷走している自分達などきっと想像していなかっただろう。いろんなものを背負わされ過ぎたのは明らかだ。大人の都合が透けて見えてくる。涙ながらに語るのを見ていると何だか心が痛かった。

それでも前向きに活動していくと締めくくった彼ら。皆ソロに専念するのかグループ復活するのか。ほんの少しの間でもファンであった身としては、どんな形でも続けていてほしい。そしていつか又ライブを見に行こう。ちょっとおばあちゃんになった自分がかつての推しに会いに行く。想像すると今から楽しみだ。