「こちらあみ子」風変わりな少女の目線で綴られたお話

前回Audibleで聴いた著者。今回は書籍で。 「こちらあみ子」 今村夏子 著 Amazon.co.jp あみ子は、小学生の時からよく学校をサボり、たまに登校しても大声を出したり途中でいなくなったりしてしまう少し風変わりな女の子。一緒に登下校してくれる兄、優しく…

「蜘蛛巣城」文句なしに迫力あるラストシーン

三船敏郎、カッコいいですね。過去にいろいろ観たけれどまだ観ていない本作を観たいが為にアマプラで東宝名画座チャンネルに登録(すぐ解約)した私。そんな訳でアマプラで。 「蜘蛛巣城」 Amazon.co.jp 謀反を起こした敵を討ち城主の危機を救った武時(三船…

「花束みたいな恋をした」偶然の出会いから別れまでの軌跡

少し前にヒットした映画。本屋さんでも関連書籍が平積みされていた時期がありました。好き嫌いは別にして観ると色々語りたくなる作品。ネットに溢れる感想・解説を読むのも楽しかったです。 「花束みたいな恋をした」 映画.com 東京京王線の明大前駅で終電に…

「スイートホーム」山手住宅地洋菓子店の甘いホームドラマ

腰痛(ギックリ腰という奴みたいです)で室内でも匍匐前進移動しています。あぁ辛い…しかし腰以外は元気なので、寝床で本とアマプラとDuolingoだけが友達。こちらは久しぶりの図書館で借りた文庫本。返却遅れるなぁ… 「スイートホーム」 原田マハ 著 Amazon.…

「浮き雲」悪い事ばかりは続かないよと思いたい

再びカウリスマキ監督作品。これもアマプラで。 「浮き雲」 映画.com 路面電車の運転手ラウリと古いレストランの給仕長イロナは、ローンを抱えて貧しいながらも犬と共に仲良く暮らす夫婦。不況のあおりを受けて突然解雇されたラウリ同様に、経営不振でオーナ…

「マッチ工場の少女」シュールでブラックユーモアなカウリスマキ作品

観たかった「枯葉」を見逃してしまい、その代わりと言ったら何ですが同監督の作品をアマプラで。 「マッチ工場の少女」 映画.com フィンランド。マッチ工場で働くイリス(カティ・オウティネン)は母と義父の3人暮らしで生計はイリスの稼ぎのみ。貧しく質素…

「貴婦人Aの蘇生」古い洋館で剥製に囲まれた老女の世界を美しい文章で

気になると、同じ作家の作品が続く傾向に。今回は文庫本で。 「貴婦人Aの蘇生」 小川洋子 著 Amazon.co.jp 動物の剥製を収集する趣味を持つ伯父が、ある日ホッキョクグマの剥製に頭を突っ込んだ状態で亡くなっているのを発見される。一人残されたユーリ伯母…

「黄色い家」貧しさと犯罪によって歯車が狂い出す少女たちの同居生活

いやー、何か凄いもの読んじゃった(聞いたちゃった)という感じでした。Audibleで。 「黄色い家」 川上未映子 著 Amazon.co.jp 2020年、総菜屋に勤める花はある日ニュースの記事に黄美子の名前を見つけ、60歳になった彼女が若い女性の監禁・傷害の罪…

「ター」孤高な天才指揮者の裏の顔をオカルト要素もある映像で

「世界のオザワ」として著名な指揮者だった小澤征爾さん。クラシックに疎い私でもその名前は存じ上げているくらいに活躍されていた方です。丁度リストに入っていたままの作品が思い出されたので観る事に。アマプラで。 「ター」 映画.com 世界屈指のオーケス…

「正欲」マイノリティーとは何かという本質的な問題を突きつける一冊

気になっていた一冊。やっと読めました。Audibleで。 「正欲」 朝井リョウ 著 Amazon.co.jp 小学生の息子が不登校になった検事・啓喜、容姿のコンプレックスや兄への嫌悪から男性と恋愛関係に至れない女子大生・八重子、人に言えない性癖を持つ夏月。それぞ…

「ヘヴン」残酷な暴力と哲学の理論が同居する小説

翻訳版が欧米でベストセラーになり話題となった(とかなり後日に知った)作品。あまり「得意」な印象ではない作家なのですが、今回はどうでしょう。Audibleで。 「ヘヴン」 川上未映子 著 Amazon.co.jp 斜視であることを理由に「ロンパリ」と呼ばれ毎日凄惨…

「まずはこれ食べて」期待通りのお料理と期待を裏切るラスト

家事をしながらでも聞けるのがAudibleの良いところ。台所で聞いていると美味しそうなレシピが…ほんわかムードで始まった物語は予想しなかったラストを迎えます。 「まずはこれ食べて」 原田ひ香 著 Amazon.co.jp 胡雪は、大学の友人達と共に立ち上げたベンチ…

「密やかな結晶」記憶が消滅される怖さ

立て続けに「紙で」読みたくなって文庫本で読了しました。 「密やかな結晶」 小川洋子 著 Amazon.co.jp 「記憶狩り」という秘密警察によってあらゆる物が一つ一つ島民の生活や記憶から「消滅」していく島。消滅するのは香水であったりラムネであったり鳥であ…

「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」大真面目にアホらしく

映画二本観て何となく物足りなくて。劇場で三本連続は久しぶり。この軽さが丁度良かったかな。 「飛んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」 映画.com 埼玉県人に埼玉解放戦線により自由と平和をもたらし更に日本埼玉化計画を進める麻美麗(GACKT)は越谷に海を作る…

「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」でキラキラティモシーのミュージカル

「哀れなるものたち」でエマ・ストーンの怪演にあてられた直後、二本目何を見ようか相当考えて選んだティモシーの一本。結果は…? 「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」 映画.com 純粋な心とイマジネーションで「魔法のチョコレート」を作り出すチョコ…

「哀れなるものたち」異次元のような美しい映像とグロテスクさが混在

アカデミー賞多部門でノミネートされている作品。初のシニア料金利用で観に行きました。ん…いろいろと凄かったです。 「哀れなるものたち」 映画.com 天才外科医ゴッドウィン(ウィレム・デフォー)は、若く美しい妊婦(エマ・ストーン)の水死体をその胎児…

「幸せへのセンサー」自分にとっての幸せが何なのかを考えるエッセイ

小説と思って読み出したらエッセイでした。どうりで短いと思った… Audibleで。 「幸せへのセンサー」 吉本ばなな 著 Amazon. co. jp 「幸せ」とは何か、その捉え方や感じ方など、作者独自の目線でまさに語りかけるような口調で表したエッセイ。こちらもAudib…

「春のこわいもの」6つの短編に潜む怖さは感じられるか?

本作者は、かなり以前に「乳と卵」を読んだきり。久しぶりに、と思いAudibleで。 「春のこわいもの」 川上未映子 著 Amazon.co.jp 感染症の大流行が間近に迫る東京。入院中の病室でまるで老婆になったかのような妄想を抱きつつ手紙を書く若い女性、ベッドで…

「息吹」現実と妄想を行き来する世界

Audibleオリジナルである「オーディオファースト」作品の一つ。短めの小説でした。 「息吹」 平野啓一郎 著 Amazon.co.jp 一人息子の模試会場に迎えに行った息吹。到着が早すぎた為時間つぶしに入ろうとしたかき氷屋が満員で仕方なく入ったマクドナルドで、…

「さよならごはんを今夜も君と」夜食で繋がるストーリー

如何にも読みやすそうなタイトルで選びました。Audibleで。 「さよならごはんを今夜も君と」 汐見夏衛 著 Amazon.co.jp 高校受験を失敗した小春は失った家族からの信頼を取り戻そうと、好きでもない部活をしながら塾へ毎日通い勉強だけが中心の毎日を送る高…

「ブラフマンの埋葬」夢のような寓話のような短い小説

久しぶりの小川洋子。文庫本で。 「ブラフマンの埋葬」 小川洋子 著 Amazon.co.jp あらゆる種類の芸術家の創作活動を場を提供している「創作者の家」。そこで管理人として来訪してくる客達の世話をしている「僕」のもとに、夏のある日傷だらけの小さな生き物…

めでたく還暦になりました

おかげさまで60歳を迎えました。これと言って何の感慨もありません。年金受給資格に一歩近づいた、くらいのものでしょうか。 昔なら60と言えばそこそこに年寄りの仲間入りで、それなりに有り難がられていたような気もしますが(米寿で亡くなった祖父は長…

「光のとこにいてね」長い時間をかけて出会いと別れを繰り返す女性二人の物語

以前読んで気に入っていた作家さんを再びAudibleで。 「光のとこにいてね」 一穂ミチ 著 Amazon.co.jp 医師の父を持ちエスカレート式の女子校に通い不自由なく暮らす小学生の結珠(ゆず)。ある日母に連れられ古びた団地に行くがそこでシングルマザーと暮ら…

「素晴らしき世界」は優しくて生きづらい世の中か

世間は「PERFECT DAYS」高評価中ですが、映画館行きそびれたままなので、同じく高評価だった役所広司出演作をアマプラで。 「素晴らしき世界」 映画.com 殺人罪で13年の刑期を終え出所した三上(役所広司)。持病の高血圧に苦しみつつも、身元引受人で弁護…

「風の向こうへ駆け抜けろ」騎手の世界をスポーツエンタメで

タイトルから連想される通りに青春モノでした。Audibleにて。 「風の向こうへ駆け抜けろ」 古内一絵 著 Amazon.co.jp 厳しい騎手養成所での過程を経て無事卒業した瑞穂は、地方競馬場にある緑川厩舎に迎え入れられる。しかしそこは「藻屑の漂流先」と揶揄さ…

「百年の子」学年誌を通して語られる祖母・母・孫娘のお話

Audibleでオススメに上がって来たので。本屋さんの話が続いたので今度は出版社のお話を。先入観なく選んだのが良かったようです。 「百年の子」 古内一絵 著 Amazon.co.jp 明日花は老舗出版社文林館でファッション誌編集部に配属していたが、突然「創業百周…

「新!店長がバカすぎて」再び孤軍奮闘する書店員のお話を

続編どうしようかな、と思っていたけれどやはり手を出してしまいました。同じくAudibleで。 「新!店長がバカすぎて」 早見和真 著 Amazon.co.jp 京子の憧れの先輩小柳店長の寿退社に伴い、宮崎の山奥に異動していた山本猛元店長が吉祥寺本店に店長として復…

「老人ホテル」

立て続けに原田ひ香繋がりで。今回もAudible。 「老人ホテル」 原田ひ香 著 Amazon.co.jp 代々まともに働かず生活保護で暮らすという家庭で育った天使(エンジェル)。保護を受ける為だけに子供をつくり育児放棄している親から逃げるように家を出て、キャバ…

「そして誰もいなくなった」古さを感じないミステリーの古典

ミステリーは普段あまり読まない私。特に海外モノは情けないことに登場人物の名前が覚えられなくて何回も説明のページに戻ることになるので敬遠しがち。それでもアガサ・クリスティーは恐らく何冊か読んだと思うのですが、もしかしたら映画の記憶とごちゃ混…

今年もたくさんの美術に出会いたい!

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 3が日は帰阪し実家で過ごしました。古い木造の家なので隙間風が酷く、昔なら石油ストーブを置いてその上でヤカンでお湯を沸かして暖を取っていたのですが、今や年寄り一人なので専らエアコン…